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『カクテルパーティー』 エリザベス・フェラーズ 感想・あらすじ

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目次

はじめに

著者エリザベス・フェラーズは、1907年、当時イギリス領だったビルマで、スコットランド人の父とドイツ人の母との間に生まれ、1925年、ロンドン大学に入学し、ジャーナリズムを専攻した。1930年代初めと1940代初めに結婚、1995年に亡くなるまで、50年以上にわたり70冊を超える長編小説と数編の短編小説を残した。彼女の作品は、アガサ・クリスティーの流れを汲む、イギリスの正統派ミステリに位置づけられる。(訳者あとがきから抜粋)

久しぶりに図書館の海外コーナーへ足を運んだ。いつものように比較的きれいな本をピックアップしたのが、今回の本である。背表紙に「論創海外ミステリ」と書いてあるので、お目当てのミステリー本だということは分かったので、これを借りることにした。

あらすじ

第一章

ファニーは、元女優で今はアンティーク・ショップを経営している。
義弟のキットが未亡人で美人のローラと結婚することになり、パーティを開くことにした。
だが、キットのことが好きだったモーデュ家のスーザンのことを考えると、モーデュ家にパーティ出席をお願いしにくいのだった。

第二章

ファニーは、酒場で飲むコリンにその問題を話した。
また、ファニーは、パーティのこと以上に、ローラのことが気に入らない自分にイラついていた。
そして、夫のバジルが言った「ローラに奇妙なものを感じた」という言葉にも引っかかっていた。

第三章

酒場から帰ったコリンは、妻のジーンに、トムがイラついている話をした。
娘のスーザンがキットに振られた形になっていることが気に入らないのだ。
コリンは、パーティの間、スーザンを外に連れ出しておけばいいと考えた。
コリン自身は、自分が資産家のジーンのヒモのような気分になって悩んでいる。

第四章

土曜日のパーティの朝、クレアは自分が望んだサー・ピーターがパーティに出席すると知って落ち着かない。まさか、本当に呼んでくれるとは・・・。

クレアは、車でパーティに向かう途中、ローラを拾って話をした。ファニー夫婦とは一緒に暮らさないつもりだと聞いた。その話を聞いたバジルはファニーにそのことを伝えた。
ジーンがやってきて、トムとコリンが大喧嘩したので、両者同時にパーティへ出席はできないと言う。

第五章

今度は、キットの婚約者のローラがひどい頭痛で、パーティには出られそうにもないという。

おお、ファニーがピンチだ!
夫に勧められて、軽く一杯飲んでいると、サー・ピーターが登場し、クレアと遭遇した。

第六章

サー・ピーターは、ファニーが作ったパイを美味しいとほおばり、クレアと話し込んだ。
ところが、サー・ピーターが眉間にしわを寄せているのを見たファニーは、何の話をしていたのかクレアに聞いたが、何を相談していたのかは秘密だと言った。
サー・ピーターは、(スーザンが吐き出してしまったほど味が悪い)ファニーが作ったパイを、美味しいといってほとんど食べて帰ったのだが、帰宅途中に具合が悪くなり、亡くなってしまったのである。

第七章

サー・ピーターに付き添った医師のマクリーンは、翌朝ライナム家(ファニーの家)を訪ねて、サー・ピーターが何を食べていたかを質問した。それは、ファニーが調理したロブスター・パイで、変な苦い味がしたので、みなが食べなかったのであるが、サー・ピーターだけは美味しいといって食べ続けたと答えた。
その結果、食中毒でサー・ピーターが死んだのだと思ったファニーは自分に責任があると考えてしまう。だがキッチンにあった調味料を全部しらべても、苦いものはなかった。

第八章

ローラ、キット、そしてクレアらは、明るいうちに帰途についた。
ファニーは警察に事情聴取されたことや次はあなたにも事情聴取に呼ばれるだろうという予想をクレアに連絡した。

第九章

翌日クレアは、警察に話を聞かれた。ライナム夫人にサー・ピーターに会いたいと話していたことも伝えた。その理由は作家としてサー・ピーターのような登場人物を小説に登場させたかったので、その取材のためだと説明した。そして、サー・ピーターからライナム夫人(ファニー)に近づいたのだとも説明した。その目的は、ライナム夫人が営んでいるアンティーク・ショップは、サー・ピーターの生家であり、その家をもう一度見て見たかったからだと。なぜ、サー・ピーターが突然帰宅したと思うか、についても聞かれたが、分からないと説明した。
警察の考えは、何人かのそれぞれ別の人間に敵意を持っている人物たちが一同に会したのだが、死んだサー・ピーターは、その誰とも関係がないという点が悩ましいこと、そしてロブスター・パイがまずかったのは、誰かがライナム夫人に恥をかかせようとしたのではないか、という推理である。ただ、ヒ素の分量を間違えたために、ほとんどひとりでロブスター・ピザを食べてしまったサー・ピーターが死んでしまったのではないか。ただ、苦い味がしたという証言は、ヒ素は無味であるという事実に反するので事態はややこしい、と感じているようであった。
警察が帰ったあと、キットの婚約者のローラ・グリーンスレイドが訪ねてきた。驚いたことに、ローラ(義弟との結婚を良く思っていない)は、ライナム夫妻が自分に毒入りピザを食べさせて殺そうとしたのだと主張したのだ。なぜなら、ローラは苦いフェニルチオ尿素の味を感じないからだと言った。

第十章

ローラの話を聴いたクレアは、親しいファニーとその夫が疑われていることに反感を抱いた。
元々、学生時代にバジル博士の実験に参加していたローラは、フェニルチオ尿素の味を感じないことをバジル博士に知られてしまったという。何千分の一という確率でその味を感じない人がいるという。それを根拠にローラはライナム夫妻を疑っているのである。
その日の夜、クレアはファニーに会うため電車で移動し、駅までバジルが迎えにきた。ライナム家に向かう車の中で、クレアはバジルの考えを聞いた。二人の考えは、狙われたのはサー・ピーターで、ローラはうぬぼれが強いのだということになった。ライナム家に到着し、キットもいる前でバジルが推理を話した。ローラが自分が狙われたと思っていることも。ファニーは納得した様子で、何かひらめいたらしく、すぐに外出した。

第十一章

ファニーは考えをまとめるために歩いた。そして村の居酒屋ワゴナーズへ入った。
コリンがいたので、「サー・ピーターがどうやって殺されたか分かった」と言った。ファニーはキットの婚約者のローラがロブスターにヒ素を入れたと思っていた。だが、コリンの推理は違っていた。ロブスターにヒ素を入れたのは、トム・モーデュだと考えていた。なぜなら娘のスーザンはキットに振られたのだから。コリンは、妻のジーンにモーデュ家の人たちに会いに行くと言った。

第十二章

コリンは徒歩でモーデュ家に向かった。トム・モーデュは、コリンが娘のスーザンに、キットのことを忘れさせるために、スーザンに仕事を斡旋したことを良く思っていないらしい。

コリンはモーデュ家の人々に、「誰かがファニーに恥をかかせたくて、ロブスター・パイに少量のヒ素を入れたのだ。」と言った。それはまるでトムがそうしたとでも言ってるように聞こえたので、コリンとトムは口論となった。モーデュ家を出たコリンにスーザンが追いかけてきて、キットを振ったのは自分の方だと告白した。トムがそのことを知っているなら、トムのライナム家への敵意は無いことになる。ただ、キットを振った理由はファニーの存在だったのだ。ファニーという義姉を頼るばかりの夫といしょに暮らすのが嫌だったのである。そうなると、可哀そうなのはローラなのかも知れないとコリンは思った。

第十三章

コリンがライナム家に寄ると、クレアもいたので、ファニーと別室で話すことにしたが、ファニーは相当疲れているようだった。コリンは、モーデュ家での話をファニーにした。ファニーは自分の推理とは違う推理に興味を持ったようだ。
ファニーはキットにコリンの推理を話した。スーザンが自分(ファニー)を嫌いだからキットを振ったこと、ローラがファニーに殺されかけたと思っていること、つまり自分がすべて悪いのだということを。そして、キットが早く私の元を去って独立していたら、こうはならなかったと。それを聞いたキットは、それらを否定しながらも、すぐに家を出て行った。

第十四章

キットは、駅に隣接したホテルで眠れない一夜を過ごしたあと、駅までローラを迎えに行った。
キットはローラのために、ワゴナーズの二階に部屋を借りた。そして、そこでキットはローラに言った。君は姉さんが君を殺そうとした、と思っているようだが、それは間違いだし、そんなことを誰にでも言いふらさないで!と。
そのあと、一階のワゴナーズに行くと、皆が声を掛けてきた。犯人が捕まった。犯人はサー・ピーターを世話していた二人だったと。ローラに話そうと急いで二階に戻ると、窓から外を見ていたローラがグレゴリー夫妻を見て聞いてきた。キットが隣人だと答えると、ローラが意味ありげに喜ぶのでキットは当惑した。

第十五章

キットは、いったんライナム家に戻ると、そこにはライナム夫妻とクレア、コリンが居た。気を利かせたコリンは帰ったが、クレアは残った。そしてみなの疑問が残った。使用人が逮捕されたのは、ヒ素が見つかったからだが、苦みのフェニルチオ尿素の件は解決していなかった。それが解決されない限り、サー・ピーターの使用人が犯人であるとは断定できないのではないか。
とにかく、犯人は捕まったのだから、ローラを連れてきてとファニーが言うが、誰も賛同しない。それでもファニーがクレアにお願いするので、仕方なくクレアは出かけたが、青い顔で帰ってきた。ローラはここには来ない。

第十六章

ローラは、キットがワゴナーズの部屋から出て行ったあと、スーザン・モーデュに電話したが不在だったので、母のミニーに伝言した。自分はキットから身を引くから、スーザンとキットは両想いなのでうまくやってね、と。困惑したミニーは夫のトムに相談するも信じてくれない。帰ってきたスーザンにそのことを告げると、スーザンは村へ向かった。その女を一発殴ってやろうと考えたのだ。
村の通りで、ジーン・グレゴリーがワゴナーズの前で挙動不審な様子である。スーザンは声を掛けると、ジーンもローラに会いに来たような感じだった。とにかく、スーザンはワゴナーズに入り、ローラは居るかとトレース夫人に聞いた。二階に居ると聞いたスーザンが駆け上がって悲鳴を上げた。なんとローラが背中にナイフを突き立てられて殺されている!と言う。
フレッドは警察に行き、スーザンは自宅とライナム家に電話した。電話を終えたスーザンは、モーデュ家とグレゴリー家の電話番号が記された紙片を見つけ、ローラがその二件へ電話したと思った。そうか。ジーンを呼んだのはローラだと思った。そして、スーザンがジーンをワゴナーズの前で見かけたとき、ひょっとしたらジーンはワゴナーズから出てきたところだったのでは!?と思い当たり、ジーンに聞こうと考えたが、ジーンは忽然と消えてしまった。

第十七章

スーザンからの電話でローラが殺されたと聞いたバジルは、ローラに会いに行って帰ってきたクレアに聞いた。ローラは生きていたのか?返事はNOだった。
バジルは、これで、毒殺事件の真の標的はローラだったということになる、と言った。
だが、コリンは違った。彼の推理はこうである。ロブスター・パイには、ヒ素もフェニルチオ尿素も入っていなかった。真のターゲットは、やはりサー・ピーターで、パイの件は殺害方法を攪乱するもので、実際にはカクテルに毒を仕込んだのだと言う。そうですよね、フォーウッドさん。それを聞いたクレア・フォーウッドはその場に崩れ落ちた。

第十八章

コリンは、クレアがサー・ピーターに似ていることに気が付いていた。おそらく父娘だろう。
つまり、娘が父を殺したことになる。コリンは倒れたクレアのために、マクリーン医師を呼びに行った。二階に寝かされたクレアは一人にしてとファニーに頼んだ。
バジルの推理はコリンとは違った。クレアは人殺しなどしない。バジルは、犯人はパーティーに参加しなかった人物だと考えた。そのため不確実な殺害方法となり、誤ってサー・ピーターが死んだのだと。
スーザンは、キットと同じように、ライナム夫妻に、ジーンがどうやって膨大な資産を手に入れたのかを聞いた。その質問のわけを話した。ローラがグレゴリー夫妻について何か重要なことを知っているようだった、しかも今お金持ちなことを知って興奮していたと話した。
そういえば、ジーンは自分が裕福なことにやましさを感じているようだったことをファニーは思い出していた。
ジーンはローラの死体が発見されたときも落ち着いていて、自分は看護師だから死体を見て来るとまで言ったのをスーザンは思い返していた。
バジルが部屋を出て行き、警察がやってきた。

第十九章(ネタバレ)

すべてを悟ったバジルは裏口から家を出て、庭から隣のグレゴリー家に入った。コリンとジーンの名を呼んだ。二階のジーンの書斎からコリンが出てきた。「遅かったよ」
ジーンは子供を抱えてリボルバーで自分の頭をぶち抜いていた。

真相は、こちら

コリンは学生時代にローラと結婚していたが、野心的なローラが疎ましくなっていた。たまたまローラが留守の自宅に飛行爆弾が命中し家は跡形もなくなった。これ幸いとコリンは自分が死んだと見せかけ、他人に成りすまして、金持ちのジーンと重婚していたのである。
ところが、ファニーから義弟がローラ・グリーンスレイド(元の妻)という女性と結婚すると聞いて、当然驚いたであろう。コリンはローラを事故に見せかけて殺害しようと計画した。殺害現場となるパーティに参加しなくていいように、トムと口論することも計算のうちだが、妻のジーンが何もしらずにトムと口論してくれた。そして、巻き込まれたサー・ピーターが亡くなった。今度はシンプルな方法でローラ殺そうと考えたコリンは、偶然クレアがローラを訪ねることを知り、彼女に罪をかぶせようと考えた。コリンはローラがモーデュ家とジーンに電話をしている間に、ローラの部屋に忍び込み、電話から戻ったローラを殺害した。そのあとローラを訪ねてきたクレアはローラの死体を発見してショックを受けてライナム家に戻った。ジーンはローラからの電話で夫の正体を知り、子どもと無理心中したのである。そして、もうおしまいだと悟ったコリンは自殺したのである。
夫は死んだと思い込んでいたローラはグレゴリー夫妻を見て驚くとともに、ジーンに金銭を要求したのである。

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おわりに

答えは最終章まで読まないと分からない。それぞれの登場人物の誰もが犯人に成りえるように描写されているからだ。そして登場人物のそれぞれが自分の推理をもっともらしく話すので、読者はついその口車に乗せられてしまうのである。最終章には、これまで話されなかったある事故の話が出てきて、そのことが間接的なきっかけとなって、今回の殺人事件につながるのである。
ひとつ、自分の中で解明できていないのは、ジーンが金持ちであることに後ろめたさを感じているように描いたのはなぜか、という点である。事件には関係ないと思われるからだ。まさか自分の主人の正体を知っていたのか。いや・・・。

登場人物の関係図は、こちら👇を参照ください。

書籍情報

・形式 単行本(ハードカバー)
・出版社 論創社
・ページ数 288頁
・著者 エリザベス・フェラーズ
・訳者 友田葉子
・初版発行 2016年2月25日
・分類 海外ミステリー、ミステリー


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