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『ハウスメイド2』レビュー|あらすじ・感想(※後半ネタバレあり)

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目次

はじめに

この記事では、フリーダ・マクファデンの小説『ハウスメイド2』について、

・ネタバレなしの前半の展開
・序盤〜中盤のあらすじ(ネタバレなし)
・後半の展開(※ネタバレあり)
・読後の考察

をまとめています。
ネタバレ部分は明確に区切っているので、未読の方も安心して読めます。

ネタバレなしの前半の展開

作品の基本情報

・著者    フリーダ・マクファデン
・出版社   早川書房
・ジャンル  ミステリー、サスペンス
・読み易さ  翻訳ものだが、非常に読みやすい
・ボリューム ちょうどよい、半日で読めた

どんな読者に刺さるか

・一作目でミリーが好きになった人
・ミステリーや翻訳ものの初心者でも読みやすい
・登場人物が少ないので、名前と関係で混乱することはない

魅力ポイント

・世界観    富裕層の邸宅がある地域。そこでメイドとして働く、前科者で強い20代の女性が住むアパートのある無法地帯のブロンクスの街
・キャラの関係 前科者ミリーと恋人の信頼関係
・文体の特徴  海外ものとしては風景や文化的描写が少ないので、ストーリーに集中できる
・テーマ性   困っている女性を女性が助ける

序盤〜中盤のあらすじ(ネタバレなし)

前作でも登場した、前科持ちミリーが主人公。
では、表紙の裏にも書かれている数少ないキャストを紹介しておきます。

・ミリー   前科持ちのハウスメイド
・ブロック  ミリーの恋人、弁護士
・ダグラス  ミリーの雇い主
・ウェンディ ダグラスの妻
・メアリベス ダグラスの会社の受付係

第一部(あらすじ)

ミリーは最初、アンバー・デグローに雇われていた。彼女は金持ちらしく、一切の家事をミリーに任せる。自分のお出かけのために、幼い子供の面倒を強要してくる。もう帰ろうとしていたのに。そしてミリーは大学の講義の時間に間に合わない。

エンツォと別れてから、ミリーは弁護士の彼氏ブロックと付き合っている。だが、彼には前科のことは伝えていない。言えば、この幸せが逃げていくかも知れないから。

ハウスメイドの仕事は順調だった。ただ順調すぎて、生後九か月のアンバーの娘になつかれて、ミリーのことを「ママ」と呼ぶようになり、雇い主アンバーの怒りに触れて解雇されてしまった。(このストーリーは必要? まあ、ミリーのベビーシッタースキルが向上しているという説明にはなるか・・・)

そして、次はもっと富裕な雇用主から声が掛かった。ダグラス・ギャリック 、どこかの会社のCEOだ。妻の友人から紹介してもらったらしい。

屋敷に行くと、すぐに掃除してくれと言う。各部屋を紹介されるが、ゲストルームは、体調不良のダグラスの妻のウェンディが居て、ダグラスには近寄るなと言われた。

ミリーは、持ち前の性格で、近寄るなと言われたその部屋のウェンディに声を掛けた。
ドアの隙間から覗いたウェンディの顔は痣だらけで、ミリーは驚き、すぐに事態を察知し、夫のダグラスからウェンディを救出しなければと考えてしまう。

話は変わるが、ミリーが住む同じアパートのザビエルに執拗に誘われて、ついに鉄槌を下したミリーは警察に事情聴取されることに。男はミリーが誘ってきたのだと警察に言う。運わるくミリーが倒れた男を一方的にボコボコしているのを目撃されていた。

そうしている間も、恋人のブロックは、早く身を固めたくて、なんとかミリーと同棲しようと説得を試みたり、両親に合わせようとするが、すんでのところでかわすミリー。

病院からアパートにザビエルが戻ってくるので、ミリーは仕方なくブロックと住むために引っ越しに取り掛かると、ミリーのアパートの前でザビエルが逮捕されるところに遭遇する。ザビエルがいなくなると分かったので、引っ越しは中止だ。ブロックが萎える。

ミリーはギャリック夫妻のペントハウスへ行く。バスルームが血だらけで、奥様はゲストルームに閉じこもっている。これはもう虐待どころの話ではないとミリーは思う。

そして、ミリーはギャリック夫人に、ミリーのことを誰から聞いて雇うことにしたのかを聞くと、以前助けた女性の名前を告げた。さらに、雇った理由を聞くと、もう観念したのか、ギャリック夫人は、「分かってるでしょ(夫を殺してほしいの)」と言うのだった。ここまで来ると、ミリーが闇の仕事人のようでさえある。

読者の私は、さあここから正義の味方ミリーの大活躍が始まるぞ!と思っていた。

ウェンディ・ギャリック(ギャリック夫人)は、血のついた、でも高価なブレスレットをもういらないと言って、ミリーに渡した。ブレスレットには「Wへ、・・・愛をこめてD」と刻まれている。ミリーの本名はウィルヘルミナ。大丈夫かな。

別の日、ギャリック夫妻のペントハウスへ行く。
驚いたことに、ウェンディが部屋の外に出てきていて、ミリーを待っていた。
なんでも友人のフィオナに連絡して、彼女の農場まで逃亡して匿ってもらうという。
ダグラスは仕事でロスに聞くため飛行場へと向かったので、この隙に脱出する計画だ。

途中、マツダ車に追いかけられながら、振り切ってモーテルに到着した。
ここに翌朝、フィオナが迎えに来る手筈になっている。

ミリーは急いで戻り、レンタカーを返却したはいいが、時刻は真夜中で無法地帯のブロンクスまで若い女性が一人で歩くなど危険きわまりない。と、そこに例のマツダ車が近づく。催涙スプレーを構えるミリーの耳に聞こえたのは、最愛のエンツォの声だった。

ミリーは悪態をつきながらも、喜びに打ち震えている。ミリーはことのいきさつをエンツォに話した。

しばらくして、ウェンディからミリーに電話が入る。「彼に連れ戻された!」
ギャリック夫妻のペントハウスへ行く。ウェンディはまた痣が増えていた。彼女は夫の部屋から拳銃を見つけたといってミリーに見せた。これで夫を殺すつもりらしいが、ミリーがそれはさせない。

ダグラスから契約終了を言い渡されたミリーは、少しほっとして最後の仕事のため、ギャリック夫妻のペントハウスへ行く。すると、夫人がいるゲストルームで夫妻の喧嘩の声が響く。そして首を絞められているような音。ミリーは教えてもらった拳銃をダグラスの書斎から持ち出した。ゲストルームに突入してダグラスに銃を向けるが手を離さない。このままではウェンディが死んでしまう。ミリーは引き金を引いた。ダグラスが倒れる。ウェンディが脈を取ってから言う。「死んでいる。私が撃ったことにするから早く逃げて!」

ウェンディが言ったとおりの証言をすれば、ミリーは大丈夫のはず。
ところが、翌朝アパートにニューヨーク市警が来た。ミリーは弁護士として彼氏のブロックを呼んだ。

刑事はミリーが犯人となるための状況証拠を次々と積み上げていく。メールのメッセージ、アパートに残こされた高級ブレスレットとドレス、拳銃の指紋、そして約束してくれたはずウェンディの信じられない証言により、ミリーは詰んだ。

一旦釈放されたミリーは自宅へ帰り、なんとなくテレビをつけると今回の事件を報道していた。そして驚くことに、殺された男の写真は、ミリーが撃ったダグラスではなかった。

後半の展開(※ネタバレあり)

※ここから先はネタバレを含みます
未読の方はご注意ください

第二部 (ネタバレ)

もうおわかりだろう。ここからは、ウェンディがどのようにダグラスと知り合い、彼女がなぜダグラスを殺すことにしたのか、それが書かれている。ダグラスは殺されるほどひどい男だったのか。

ウェンディは思った。彼が死ねば、私はすべてを手に入れられる。ウェンディの頭には、友人から聞いた危険な女ミリーの名前が浮かんでいた。

そして、ミリーを迎え、ラッセルをダグラスになりすませた。本物のダグラスはロングアイランドの家がお気に入りで、めったに動かない。ふたりで、悪魔のようなダグラスと可哀そうな妻を演じ切った。ミリーはまんまと騙された。彼女は、ダグラス殺しの犯人に仕立てられた。そのあと、本物のダグラスを呼び寄せて実際に殺したのは、ウェンディだった。

第三部

テレビでニュースを見たミリーは理解した。私はダグラスを殺していない!
では、死んだのは誰?(死んでないのだが)

ブロックに見捨てられたのは想定外としても、今はエンツォしか頼れる男はいない!
当然、エンツォに連絡した。事態を説明するうちに、エンツォに言われて気づく。ほんとうにウェンディを信じているのかい。

ウェンディがミリーをハメたと考えると辻褄が合うことをいくつも思いついた。
騙されたと分かったミリーは怒りにまかせて行動しようとするが、エンツォが必死に止める。分かったと嘘をついて、エンツォの車のキーを鞄に入れた。

第四部

ラッセルとシャンパンで祝杯を挙げるウェンディ。
ラッセルの妻のウェンディのお気に入りのシャンパンだそうだ。うまい。
そして、弁護士のジョセフから電話だ。遺言書の執行のことだろう。おもわず笑みがこぼれるウェンディ。

ところが、ジョセフはとんでもないことを言い始めた。ダグラスが先月、遺言状を書き換えて、財産はすべて慈善団体に寄付することにしたと言う。焦るウェンディ。でも、裁判したら勝てるはずと考えたとき、電話が鳴る。ニューヨーク市警からだった。

ここで、驚くべきどんでん返し(省略)
事件は解決した。

ついに、ミリーは力強い味方を手に入れた。あなたがこれまで女性を助けてきたことは分かっている。だから、次に何かあったら連絡してほしいと、ラミレス刑事は名刺をミリーに渡したのである。

さて、もうひとつの真相を言い忘れるところだった。昨晩、エンツォの車のキーを盗んで向かった先は、ウェンディとラッセルが逃亡した山小屋ではなく、メアリベスのアパートだった。
・・・

やはり、ミリーこそ最も敵に回してはいけない女なのだ。

考察と解釈

前科者である危うさ、犯人の性格

最初のほうで、ザビエルという厄介なストーカー的男がミリーと同じアパートに住んでいる様子が書かれている。

ミリーは襲われそうになり、過剰防衛行動を取ってしまうというピンチに陥る。逮捕されると再犯ということになり量刑も前より重くなる。また釈放されても前科者であると大家にバレるとアパートから退去させられかねないし、前の雇い主からの紹介状でもない限り、再就職は甚だ困難であるなど、前科者の厳しさも描かれる。

雇い主であるダグラスは優しい人だと思っていたのに、ギフト返却のことで、ミリーが突然きつく言われたので、読者としては前作の雇い主の夫が頭に浮かんだ。やはり、こいつがサイコパスか!と。ミリーは、人間には別の顔があるのだと考えて納得したようだが。

キャラの行動の意味

最後の方で、ミリーがエンツォの車で山小屋に向かったと思わせておいて、実はミセス・ギャリックの浮気相手の奥さんのところへ行くという選択の必然性に疑問が残ります。

また、夫を殺したメアリベスの動機は、夫に掛けてあった多額の生命保険ですが、これも殺人まで犯して保険金を受け取れると冷静に考えたのかという疑問が残ります。

伏線

前作とは違うと感じたのは、ミリーがダグラス(の替え玉)を撃ったあと、妻のウェンディがニヤリとほほ笑むシーンで、あとから考えると、なるほどと思えました。

読み返すと見えるポイントとしては、部屋に閉じこもっているミセス・ギャリックが、しばらくして自分から出てきてミリーに話しかけるようになったところ。これも前作とは違うパターンの伏線だと言えるかも知れません。

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読後感・総評

シリーズの二作目を読み終えた感想としては、「ミリー・ザ・ハウスメイド」キャラが完全に誕生したと感じました。これでシリーズ化できる。警察のお墨付きを得たり、ツテの多いエンツォを取り戻したミリーは、ほぼ無敵になったように見えます。

勉強になったシーンは、「傍観者効果」という言葉。周囲に他の人が居ると、被害者を助けるという行動が抑制される社会心理学的現象のことです。たとえば、女性がレイプされていても見ていた数十人の誰も助けようとしない。罪の意識がその人数分の一になる効果によって、面倒なことにはかかわらないでおこうと判断するそうです。見ているのが自分一人だったら、せめて警察を呼ぶなどもするところが、それもなされないことになります。
 
スマホ時代の今、「今夜は(ハウスメイドの仕事に)来る?」「はい、(ハウスメイドの仕事に)行きます!」こんなやりとりをメールに残してはダメなのです。(ハウスメイドの仕事に)の部分が省略されているからです。ダグラスはミリーに仕事を依頼するときは、このようなメッセージを使っていました。もし、ダグラスが誰かに殺されて、このメールのやりとりを警察に見られたら、ダグラスとミリーはできていたと警察が考えてもおかしくありません。危険な証拠になるのです。ただし、ダグラスは何かを考えてこうしているわけではないので、事件の構図を複雑にすることに成功しています。

他の海外翻訳本と比較すれば、訳者の力量のおかげで、すごく読み易くなったいます。 この本は、単なる推理小説ということではなく、現在進行形として読めるため、サスペンス小説だとも言えるでしょう。

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まとめ

この作品の魅力は、前科者の主人公が、強力な助っ人を得て解決していくところや、素性を知られそうになる主人公が弱くもあり強くもあるところでしょうか。

そして、1つではない「どんでん返し」と「良質なサスペンス」。この楽しみがTV以外で見られるのは十分価値のあることだと思います。

本シリーズは、シリーズの刊行順どおりに読むのがいいでしょう。 そして読者への忠告ですが、前科持ちのミリーを好きになってはいけません。痛い目に合いますよ。それでもいいという方には、おすすめの一冊でしょう。

ネタバレ部分も含めて、あなたの読書体験の参考になれば嬉しいです。

書籍情報

・形式   文庫本
・出版社  早川書房
・ページ数 464頁
・著者   フリーダ・マクファデン
・翻訳   高橋知子
・初版発行 2025年12月15日
・分類   文芸作品、ミステリー、サスペンス

著者情報

1980年生まれ、脳外科医、作家。ニューヨークで生まれ、ハーバード大学を卒業後、ボストンで医者になる。
2013年にアマゾンKDPでThe Devil Wears Scrubsを自費出版し、作家デビュー。
2022年に『ハウスメイド』を刊行し、NYタイムズベストセラーリストで1位になる。
2023年には続篇である『ハウスメイド2 死を招く秘密』(本書)を、
2024年には三作目のThe Housemaid is Watchingを刊行。三作目は早川書房より近日刊行。

(本書およびネットの情報から)

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