はじめに
著者が冒頭でミヒャエル・エンデの言葉を紹介する。「並行した物語は、気づかぬうちに互いに影響を及ぼさなければならない。たとえば、・・・誰かが自分でもまったく理解できないことをする。しかし、まさにその行為が、もうひとつの物語で誰かを命の危機から救うのだ。」 この記事では、道尾秀介の小説『I アイ』について、 ・ネタバレなしの魅力紹介 ・読後の考察と解釈 をまとめています。
ネタバレなしの魅力紹介
● 作品の基本情報
書籍情報
・形式 単行本
・出版社 株式会社集英社
・ページ数 296頁
・著者 道尾秀介
・初版発行 2025年11月30日
・分類 文芸作品 ミステリー
著者情報(本書とネットから)
・1975年東京生まれ。04年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年には『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞を受賞。11年『月と密』で直木賞受賞。その他の著書に『向日葵の咲かない夏』『鏡の花』『いけない』『N』『きこえる』など多数。最近では、月9ドラマ『月の恋人~Moon Lovers~』(CX系)の原作を書いたことでも話題に。
● 魅力ポイント
・第1章と第2章から成るが、それぞれが上下反転して印刷されている。
・第1章と第2章は関係している。
・第1章と第2章は、どちらから読んでもいいが、その順番によって死亡する人が変わる。
・出生と戸籍のことが分かる。
● あらすじ(冒頭部分のみ、ネタバレなし)
ゲオスミン
・主人公 野宮さん、私 田釜
・物語の導入
二人の男がバーベキューで小梨島で採れたイソスジエビが曲がるのを見て、焼死体はファイティングポーズを取っているという豆知識について会話している。
・主要キャラの登場
ひとりは形成外科医(休職中)の田釜雪夫先生で、もうひとりは(刑事だった)野宮。彼は小梨島に続く十月の砂浜で半年ほど野宿している。田釜先生は妻に出て行かれ一軒家で独り暮らし。娘は児童劇団に所属していた。劇団の主宰は真畑潤子さんという。真畑らは無残な行為を行ったらしい。
・物語の軸となる出来事
野宮の娘は、学校で同級生のカップルに傘泥棒と間違われて、学校で言いふらされて、心に傷を負い自殺、刑事の野宮は娘のSOSにも反応できず後悔、葬儀の時に来たそのカップルが笑っているのを見て逆上、男の方をボコって警察を辞職したという。田釜にも娘がいた。将来は舞台女優になると頑張っていたが、ニキビ治療のためネットで購入した化学物質を顔に浴びて重度の火傷を受傷し・・・、退院して劇団の練習に戻ると、主役から外されたうえに、こんな酷い容姿の人とは共演したくないとまで言われて帰ってきた娘の変化にも気付けず、翌朝行ってきますと言って学校へ行ったはずの娘は敷地内の小屋で首をつって死んでいた。荒れた田釜の元を妻は去った。田釜は、劇団の全員を殺したかった。ところがその劇団は二年経過して、娘が主役を演じるはずだった「白雪姫」を大々的に公演することが分かった。
ペトリコール
・主人公 姉の小峰夕歌、妹の私 小峰結
・物語の導入
自分の部屋に引きこもっている姉。ある日、妹の結が帰宅すると姉の姿が見えない。今までになかったことだ。そして姉の遺言を発見し、焦る妹。姉を探しに商店街に行くが、途中で雨模様となり、偶然リラクゼーションの看板がある白い廃墟となった建物の窓枠に掛けてあった赤い傘を借用する。
・主要キャラの登場
姉の夕歌は、小学校四年生の時から引きこもりになっていた。妹の結は現在高校生だ。
・物語の軸となる出来事
姉を探しても見つからないので、結は家に帰ろうとした。すると家の方から母の悲鳴が聞こえた。家に入ると、見知らぬ男、いや、その男を見たらすぐ逃げなさい、と言われ続けてきた、まさにその男が、両親を惨殺してオイルを巻いて火をつけたところだった。驚くべきは、結は男にオイルを掛けて逃げ出したこと、玄関のドアを塞いで、その男まで焼死させたこと。でも証拠はないから、結は駆けつけた警察に保護されて、自分は夕歌だと名乗ったことで、運命が変わっていく。
読後の考察と解釈
1章と2章の読む順番で結末が変わるという仕掛けは、言われていないと気づきにくい。
それぞれ自分の解釈に疑問を持たずに読み終えてしまう気がする。
かと言って、違う結末だと知ってて読んでも、「ん?」となる人がほとんどではないかと思ったのは失礼かな。
しょうがないので、正確に時間軸を追うことにした私は、エクセルに書き出して行った。
すると、どうしても時間の感覚がおかしいところが出てくる。そして、赤い傘がポイントだと気づいた。
さて、著者がネタバレ記事は書かないようプロローグで注意書きされているので、これ以上は書けません。
あとは自分で読んで考えてみてください。
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まとめ
『I アイ』は、『N エヌ』を読んだ読者に特におすすめの一冊でした。 ネタバレは書けませんでしたが、それぞれのあらすじの冒頭だけでも、あなたの読書体験の参考になれば嬉しいです。 〆


