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パリュスあや子 『隣人X』 感想・考察|魅力・前半のあらすじ【後半のネタバレなし】

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この記事では、パリュスあや子さんの小説『隣人X』について、

A)魅力紹介
B)前半のあらすじ
C)読後感・まとめ

をまとめています。 
後半のネタバレなしなので、未読の方も安心して読めます。
目次

A)魅力紹介

作品の基本情報

・著者:パリュスあや子
・出版社:講談社
・ジャンル:SF的文芸小説
・ボリューム:少ない218ページ

どんな読者に刺さるか

・SFが好きな人
・人間模様が好きな人

魅力ポイント

・世界観:最近の東京周辺で生きる人々と惑星難民Xが共存している世界
・キャラの関係性:普通の人々
・テーマ性:生きづらい日常生活の裏に隠された何か、何かなあ・・・。

B) 前半のあらすじ

青色のサブタイトルは私が勝手につけております。💦

・プロローグ

 情報室からオペ室のシャーレに膨大な人間のデータが転送される。すこしずつ人間の臓器が作成され、ついには人間となった。(SF的)

・土留紗央(つちどめさお)の落とし物 (社員証は大事やで、の巻き)


派遣社員の土留紗央は、中堅大学の文学部で親のすねをかじって大学院まで行った。おかげで、就職活動では出だしは良かったものの、最終面接で落ち続けた。結局、派遣社員となり、派遣先は一流企業である。勤め先を聞かれると、派遣先の大企業名を言うこともあり、世間からはほめたたえられて変な気分だ。ある日、断り続けていた飲み会にひょんなことから参加するハメになり、ものすごーく怖い体験をして、もう二度とお酒は飲まないと決心した物語。
(キーワード)優しい男でも狼と思え、飲み過ぎると気が緩む、社員証は肌身離さないこと
(社員証のことは会社でもよく言われることなので刺さるなあ)

世間では、アメリカNASAが地球外生命体との接触し、難民Xとして受け入れる方針を発表した話題で持ちきりだった。彼らは擬態能力に長けていて、人類に成りすますことができる、というのが受け入れの決め手になったようだ。(こんな話要るのか・・・とこの時は思う。)

・柏木良子の日常(昔のことやけど、学生証は大事やったで、の巻き)

両親は、かつてコンビニを経営していて、当時高校生だった柏木良子もよく手伝った。そんな柏木良子は現在40歳、コンビニで働いている。(なんだか、蛙の子は蛙みたいな人が多いのだろうとか思ってしまう。)

 コンビニへの出勤途中で大手の会社名が入った社員証を拾う。どこかで見たような・・・。(土留紗央さんのことだ、と読者なら誰でも思う) ついに思い出す。お店にたまに来る女性だ。しばらく来店を待ってみたが来ないので警察に届けた。

 良子も大学生の時、学生証を落した苦い経験があった。(こっちも身分証のネタか!と思う)自動車事故を起こして金が必要になり、キャバクラで慣れないアルバイトをした。一人の男、古関に気に入られ、アフター。ところが男は豹変した。暴行されたあとの記憶があまりないが、警察から落とし物の学生証が届いたという連絡があって、はじめて学生証を落したことに気づいた。その後の良子の男性遍歴は裕に20人を超えた。目立たなくて都合が良さそうで変に言い寄られるタイプかつ断らないタイプらしい。いまの彼は一回り若い33歳。コンビニからの帰り、久々に彼が来るというので、ご飯を用意して待つ。今の彼・笹憲太郎は週刊誌の記者で、難民Xのスキャン能力を特集するという。二人は難民Xを行け入れるかどうかで議論した。良子は賛成派で憲太郎は反対派だ。その二人の理由は、なるほどと思わせる。疲れていた憲太郎はシャワーを浴びてすぐに寝てしまった。(徐々に難民Xの話が前に出てくるようになったなあ)

・グエン・チー・リエンの恋(わたしだって日本難民やわ!、の巻き)

 リエンは去年、ベトナムから来日した。コンビニの早朝バイトと、夜は居酒屋のバイト。東京郊外に男性三人とあわせて四人でルームシェア。リエンはバイト後は日本語学校で忙しい。友人でお嬢さんのダオから旅行に誘われてもお金がない。

 リエンは、コンビニのバイトで、コピー機に忘れ去られた原本を見つけた。その内容は惑星難民Xに関するもので、人気のハリウッド俳優が惑星難民Xであると告白して大激震というもの。このことで、日本にも惑星難民Xがすでに紛れ込んでいるのではないか、という憶測を呼んでいた。

 リエンは居酒屋バイト仲間の拓真と付き合っていた。ついに彼のライブに誘われ、彼女として認められた気分だった。だが、そのあとの打ち上げで、越えられない壁を感じたリエンは嗚咽する・・・。

・惑星難民Xの祈り(あらすじ・ネタバレなし)

この章では、三人の女性が人生の転換タイミングを迎えるストーリーが紡がれる。
そして、その一人に惑星難民Xが深く関わっていたことが明かされる。
驚きのストーリーが展開されるも、「人間とは何か」を考えさせられてしまう。

・それぞれの夏休み

転換期を迎えた女性三人のストーリーが落ち着いてゆく。
個人的には、「社員証を落すほど飲むのはやめよう」という教訓を、具体的な恐ろしいストーリーで感じることができて、言葉だけの注意より何倍も効果があると思う。本小説の主題は、そんなことではありません。

・エピローグ:とある星のとある歴史

 透明な惑星生物Xが地球にやってきたお話。おとなしい性格の惑星生物Xが突然変異して、二度の世界大戦を起こしたのだった。ある人間をスキャンして同じ人間になったとき、その人に見られてしまう現象が「ドッペルゲンガー現象」であった。(なんと、ドッペルゲンガー現象のからくりが解明された!)

 Xは一度スキャン能力を使用してしまうと元の身体に戻れないため、人間として生きていくしかない。やがて純粋な第一世代の惑星難民Xが居なくなり、二世以降も、もともとのルーツが惑星難民であった記憶も無くなっていった。(人類の歴史にも似たようなところはあるのではないか。喉元過ぎれば熱さを忘れる。これかな?)

 だが、惑星難民Xの母星でまたもや大戦争が起こり、移住先として地球は選択された。地球での混乱を避けるため、今回はじめて地球に来たかのようなふるまいをし、「難民」という立場を強調したのである。(人類は、はるか昔から純粋な人類ではなくなっていたと考えれば、納得できることも多々あるのではないか。たとえば、最近の大谷翔平のような能力は、きっと宇宙からきた惑星難民Xの能力なのかも。アメリカのTVでも解説者が叫んでいたではないか。大谷は人間じゃない!he’s from another planet !!)

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C) 読後感・まとめ

読み終えたときの感情は、SF的な内容が含まれているにも関わらず、普通の小説を読んだ感じに近かったという点です。これは自分の中でパリュスさんが設定したことぐらいでは驚かなくなってきているということかもしれないと思いました。印象に残ったシーンは、「惑星難民Xの祈り」で明かされる、女性らと惑星難民Xの関係でしょう。この小説のようにあまりSFの読後感が無いSFは珍しく、なんか不思議な印象です。どちらかといえば文芸小説でしょうか。私もあまりよく分かっておりませんが。

『隣人X』は、映画好きな読者に特におすすめの一冊でした。映画は2023年12月1日に公開され、上野樹里さんと林遣都さんが主演を務めています。前半のあらずじ部分も含めて、あなたの読書体験の参考になれば嬉しいです。

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