バック・ステージ 芦沢央

バック・ステージ 芦沢央 2017年8月31日 初版発行 (株)KADOKAWA

ある舞台の舞台裏や稽古など、バックステージで起こる小さなドラマが序章から並行してほぼ完結しながらも終幕への関連を残して進行する。そして序章の事件は、文字通り終幕で解決するという仕立てになっており、あっという間に読み終わってしまう。

この本を読んで、記憶のためのあらすじと感想を残しています。じっくり読みたい方は読了後にお読みください。

目次:

序章

運命の神様のような存在に対して「なるほど。そうきたか。」と思うのだった。

<主な登場人物>
・私(松尾。今年4月入社)
・玉ノ井愛美(松尾君と同期。澤口次長にいじめられている)
・後藤康子さん(入社8年目、今年30歳の先輩)
・澤口次長(社長のお気に入りで、今年4月から玉ノ井の直属の上司)

セクハラの澤口の背任の証拠を突きつけて、彼を辞職に追い込む作戦は、果たしてうまく行くのだろうか?

私と康子さんの奮闘がスリリングだ。奮闘したのは康子さんだけか。

あのとき図書館になんて寄らずに帰っていれば。。。
後悔先に立たず。
悪い奴は、なかなか倒せない、世の中の理不尽を想う。
この決着は、終幕で。。。

第一幕 息子の親友

<主な登場人物>
・志帆子(慎也君のお母さん)
・美紀(悠真くんのお母さん)
・望(浩輝と颯太のお母さん 1か月前に離婚)
・慎也君と悠真くん(浩輝の友達)
・たっくんとみーちゃん(颯太の友達)

望が主人公か。客観的に望を中心に語られ始める。
私立小学校の受験で意見が分かれる夫婦はたくさんいるだろうに、それが離婚の原因?

望は夫に対して思った。この人はおとなしい子の気持ちがわからないのだ。。。
三年生で、浩輝は苗字が変わった。
弟の颯太は、浩輝とは違って、父親譲りで誰とでも仲良くなれる。

そして、望は浩輝の保護者会に出かけたのだが。
浩輝が親友だと言っていた慎也君のお母さんには、ちゃんと自分を認識してもらえていなかったようだ。

そして、授業のサッカーゲームでは、親友のはずの慎也くんは浩輝にパスもしないし、むしろ浩輝はひとり取り残されている感じだ。
そういえば、慎也君が親友だなんて、望には言ってないのだ。望がそうあってほしいと思い込んでいた。

浩輝が門限の時刻になっても帰ってこない。
そして、望の妄想(思い込み)が爆走し出す。
自分の勘違いのせいでいじめられていたら。。。

ちょっと図書館に行っていただけと言う浩輝に、きつく注意してしまう望であった。
でも、弟のために図書館へ行っていたのだと聞いた望は気づいてしまった。
夫のこと。長男の浩輝のこと。分かっていなかったのは、わ た し !

息子に自分の理想を押し付け、夫の離婚の原因も自分のせいではないと信じたくて
夫の浮気のせいだと思い込んできたが、その過ちを気付かせてくれるほど、浩輝は優しいお兄ちゃんだったのである。

第二幕 始まるまで、あと五分

奥田が苦労して手に入れた当日券は、嶋田ソウが演出し、三万円でも買いたいという人がたくさんいる人気の舞台だった。

その開演前に並んでいる奥田は、この人気の舞台を見ようと「フラれたはずの彼女」にメッセージを送って、その元カノが来るかもわからないのに待っているのである。

これは、そのチケットを三万円で買いたいという美人の女性に、開演まであと25分というところで声を掛けられた大学生の男の葛藤の話である。

中学時代の回想と五日前にフラれたときの状況を反芻する奥田は、あることに気付く。さて、その結末はいかに。。。

時の経過、成長と変化、思い込みなどを少しずつ紐解いたとき、爽やかな風が流れた。

<中学のころを回想して登場する主な人物>
・奥田(自分、サッカー部部長)
・ルシフェル(前嶋、生徒会長に他薦で立候補)
・伊藤裕也(バスケ部キャプテン)
・伊藤祥子(優等生)
・伊藤みのり(可愛くて、伊藤といえば、皆この子を連想したものだ)

第三幕 舞台裏の覚悟

<主な登場人物>
・川合春真(本幕の主人公)・・・佐藤勝郎役
・由香里(川合春真の彼女)
・新里茜(新人女優)・・・武藤与一の幼馴染で遊郭で働いている美代子役
・池田慎平(アイドル)・・・武藤与一役(士官候補生)
・千賀稚子(ちがわかこ、ベテラン女優)
・円居孝治(まどいこうじ、大物実力派俳優)

嶋田ソウの舞台に立つ栄誉を得た、川合春真。

川合春真は、今日見に来てくれる彼女がいるのだが、他の役者と同じ楽屋で自分宛ての脅迫状を発見する。

そのまま、舞台に出演し続けると、シーン32で、新里茜との関係を舞台上でバラすぞという主旨の内容であった。
二人は芝居の濡れ場シーンを何度もダメ出しをされており、練習のために監督に言われて濡れ場をホテルで実践してしまったのであった。

彼の芝居を支えてくれた彼女である由香里との関係が壊れてしまい兼ねない事態だが、重要なシーン32に、川合は出演せざるを得ないのである。

ストーリーとしては、皇道派の武藤に対し、美代子をめぐり対立した佐藤が、統制派のスパイとしてボスに報告したところ、憲兵が乗り込んできて、統制派の佐藤までもが逮捕されたことで、はめられたと気付いて驚くシーンであり、芝居のとても重要なシーンなのである。出演しなければ、川合の役者人生は終わる。

もっとも、その驚く演技がリアルではないと言われたままであったのだが。。。

はたして、どうなるのか。
仕掛けたのは、彼女の由香里なのか!
-嶋田ソウは、芝居のためなら何でもする。-

川合はついに追い込まれた。。。

第四幕 千賀雅子にはかなわない

<主な登場人物>
・信田篤子・・・芸能事務所・山部プロダクション所属で、千賀雅子のマネージャー
・サワグチ(Pエージェンシー 宣伝会社)
・千賀稚子(ちがわかこ、ベテラン女優) 認知症発症・・・八重子役

演出家の嶋田ソウは、認知症を発症したベテラン女優をキャスティングし、わざと狂気を感じさせる役にできると喜ぶような舞台監督である。

そんなボケかけた千賀稚子に、若い頃のテレビドラマのビデオ化の話が出る。ほかの出演者は全員承諾したのだが、稚子は当時の演技に納得できないと言って、監督とプロデューサーを怒らせてしまっていた。

舞台のゲネプロ(リハーサル)では、ビデオを撮ってあとでチェックするのだが、そのビデオに関する、ちょっとした?事件が起きてしまう。宣伝会社のサワグチがゲネプロを録画しているビデオの近くで、「千賀稚子は、もうボケている」という内容の発言をしてしまい、音声もビデオに録音されてしまったのである。

篤子は、男に対してそのことを注意するのだが、目を離したスキに男がビデオのSDカードを抜き取って逃げてしまう。

音声の内容を知られたくない篤子は、ゲネプロが録画できていなかったことで激怒する監督に対して、犯人らしき女性を見たと嘘をついてしまうのである。

だが、SDカードが無くなったくらいで、稽古の反省ができない監督ではなかった。

そして公演初日は、何事もなく終了した。
楽屋で千賀稚子のメイク落としを手伝いながら、篤子は稚子に質問された。
「あなた、知ってたんでしょう」
。。。

篤子は、このあと千賀稚子に見せられた女優魂に、唇がわなないた。

誰しも、挑戦や進化をする気力が無くなったら終わりなのである。

終幕

<主な登場人物>
・私(松尾。玉ノ井さんと同期)
・玉ノ井愛美(澤口次長にいじめられている)
・後藤康子さん(入社8年目の先輩)
・澤口次長(社長のお気に入り)

序章より続く。

休み明けに出社した後藤さんを会議室に連れ込む澤口次長!
万事休すか!

この終幕の話は、前章ともリンクしている。SDカードを持ち出したと思われる立ち入りそうな関係会社の人間を調べるために、昨日の夜、山部プロダクションの人間が会社に来たという。嶋田舞台の担当である澤口次長のことをいろいろ話してしまったらしいが、代わりに澤口次長の容疑内容を聞き出していた。窃盗罪だという。

今まさにピンチの後藤康子さんを救うには。。。
ボイスレコーダーを新たにセットして会議室に飛び込み、澤口次長を問い詰めたが、ボイスレコーダーのことはバレてしまい、背任罪の指摘については、個人の利益ではなく、会社の利益のためにやったんだから背任罪でもないし、社長も知っているから問題ないときた。。。さあどうする。

「おまえら、俺に対してこんなことするからには、それなりの覚悟があるんだろうな?」

あきらめかけたとき、反撃を開始したのは、澤口次長にいじめられていたはずの玉ノ井だった。
SDカードさえあれば。。。

カーテンコール

なんだ、ラブストーリーになってる。。。

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この記事を書いた人

ソフトウェア会社サラリーマン。書店や図書館で見つけた本の読書録を残したいと考えブログに書いています。ミステリー、時代小説、資格維持のための教養本などジャンルを問わずに読んでいます。読書録に加えてちょっとしたアイデアなども書けたらと思います。

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