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『誰もが ポオ を読んでいた』 アメリア・レイノルズ・ロング あらすじ 感想

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目次

まえがき

エドガー・アラン・ ポオ の作品に見立てた連続殺人事件。
盗まれたポオの手稿と殺人事件の謎を追う究極のビブリオミステリ!
多数のペンネームで活躍したアメリカンB級ミステリの女王アメリア・レイノルズ・ロングの日本初紹介本。(論創社ホームページから)

海外の登場人物は名前がややこしい。男か女さえ判別できない。性別が分からないと、読んでいて大いなる勘違いが起こる。訳文ではピーターだが、キャサリンで記述します。
LGBTRという考え方が広まりつつある現代だが、ストーリーを理解するために男性と女性の判別は有用であると思ったので、以下の人物紹介には印をつけておいた。

登場人物

♀キャサリン・パイパー(ピーター) ミステリ作家、フィラデルフィア大学大学院生
♀バージニア・パトリシア・ソーンダイク(ジニー・パット) フィラデルフィア大学大学院生
♂クライド・ウッドリング 教師休職中、フィラデルフィア大学大学院生 文学修士号の取得目的
♀ミス・カッツ(カッツィー) 教師休職中、フィラデルフィア大学大学院生 文学修士号の取得目的

♀ヘレン・ブラック フィラデルフィア大学の図書館員

♂ジェームズ・アロイシアス・カーニー(ジェイミー) 音楽家、フィラデルフィア大学大学院聴講生
♂アーチー・シュルツ 彫版師、顎なし、フィラデルフィア大学大学院聴講生

♂パトリック・ルアク フィラデルフィア大学教授
♂オーガスタス・オストランダー フィラデルフィア大学教授

♂ジャド・フィリップス 大富豪、エドガー・アラン・ポーの収集家

♂ウィリアム・ダニエル・ブーン 巡査部長
♂エドワード・トリローニ(テッド) 犯罪心理学者、フィラデルフィア郡検察局の特別捜査官
♂トマス・グリーアソン フィラデルフィア郡検察局の検事

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あらすじと感想

プロローグ ユーラルーム ・・・もの淋しい十月

登場人物の紹介だ。名前もイメージも掴みにくい外国のキャラクターの理解をより一層困難にしてくれる。のような書き方が多く、これをウィットに富んでいるというのだろうか。

翻訳文章が読みにくいのは仕方がないのか、原文を大事にするとこうなるのだろうか。

ジニー・パットは、キャサリンに打ち明けた。最近、「ひどいお願い」をしたら、二回それが現実になって怖いという。だから次の願いごとはしないようにする、というもの。

その日、別の大学の教授が、このまえ大学で見つかったポオの手稿(「ユーラルーム」という詩)を見るためにフィラデルフィア大学にきた。

ヘレンがそれをケースから出して見せたという。その教授はその手稿を窓際で透かしてみて、何かに気づいたようだったという。

そのことから、ヘレンはある企みを思いついたらしい。でも教えてくれないので、ジニー・パットが叫んでしまった「ヘレンなんて絞殺されればいいのに!」 

えっ!これって「ひどいお願い」じゃない!?

一冊目 アモンティラードの酒樽

まずは、ポオの「アモンティラードの酒樽」をモチーフにした短編。(先人の偉大な作品は、このように、自分の小説に活用すればいいのだ。)

第一章 地下墓所のいちばん奥へ

第一の殺人事件が起きたようだ。
アーチーを呼びに行ったヘレンの叫び声で、キャサリンと大富豪ジャド・フィリップスとオストランダー教授が駆け付けると、図書館の奥の書庫で、アーチー・シュルツが死んでいた。

いっしょにいたミスター・カーニーはどこへ行ったのだろう。

第二章 ちょうど会いたかったんだ

すぐに、ブーン巡査部長らがやってきて、現場にいた四人は尋問された。

キャサリンが、テッド特別捜査官と知り合いと分かると、嬉しそうにキャサリンだけに尋問を続けた。
ジェイミー(ミスター・カーニーのこと:本名が長いうえに、こうやってニックネームで書かれると誰が誰だか分からなくなる)がここに入ってくるまでに、ヘレンが受付けを離れてから二分くらいあとだったということは言わなかった。

それからアーチー・シュルツが誰かに電話したあと、書庫に入ったことから、電話の相手に会いに行ったと警察は推理した。

書庫への入り口が別にあることを伝え、そこから侵入したのが犯人だと考えられた。
そして発見されたのは、ジニー・パットだった。

ジニー・パットが巡査部長の餌食になりかけたとき、ヒーローのように登場したのは、トリローニ特別捜査官・犯罪心理学者だった。(なるほど、アメリカ人は、ヒーロー好きだ! これで話は分かり易くなってきた。)

トリローニ特別捜査官は、もう一つの事件が起きていたことを説明する。
エドガー・アラン・ポオの手稿「ユーラルーム」が盗まれていたのだ。

第三章 だまされてるんじゃないか

話しを整理しようとするブーン巡査部長が、ポオのことを知らなかったことで、ルアク教授が不機嫌になり、ちょっとだけ応酬するが、それでさえも、ちょっとした知識のぶつけ合いをするのである。

こういうパターンが多いよなあ、と、あまり海外ミステリーを読んでいない自分が思ってしまうほど、そのシーン要るか?と思うこともある。書かないと気が済まないんだろうな。
文章としては、西村京太郎先生の小説は読み易い。(関係ないか)

さて、名探偵トリローニは、ミス・ブラックがカーニーに頼まれた本を探しに二階へ行って入る間に殺されたシュルツの言動を確認したり、カーニーの素性を聞いたりした。
ブーン巡査部長はジニー・パットを放免したが、トリローニ特別捜査官は、彼女が無関係だとは思っていないようだ。

ミスター・ウッドリンクも、自分の推理を披露した。
続いて、オストランダー教授が、シュルツ君は手紙を盗んでもいなければ、盗まれているのを発見したのでもない。盗難などなく、彼は置いてあるのが偽者だと気づいたのかも知れない、という。

そして、オストランダー教授は、ある友人から手紙をもらい、ポオの直筆の原稿の透かしについて情報を得たとのこと。
彼はミスター・トリローニは、非常口の扉を内側から開けて、犯人を招き入れたと推理した。

第四章 その鎖を彼の腰のまわりに巻いて・・・

ミスター・トリローニは、呼び戻したジェイミーに聞いた。
図書館を離れるときに、図書館へ向かう誰かとすれ違わなかったか?

ジェイミーの答えはNO.

ミスター・トリローニは、ジェイミーが天文学の本を借りようとしていた点に疑問を抱いたが、ジェイミーはその理由を完璧に答えてみせた。

だが結局は、ブーン巡査部長がシュルツ殺しの犯人を、ジェイミーだと断定し逮捕した。

二冊目 マリー・ロジェの謎

第一章 彼女が突然いなくなったので驚いた・・・・・・

ジェイミーが逮捕されたが、謎は残っていた。
キャサリンとクライド・ウッドリングとヘレン・ブラックは、図書館を出てから話をした。

キャサリンは、シュルツが電話をしていた相手が犯人だという誰かの推理について、その相手は誰なのか、ということが置き去りにされていると指摘した。

その夜、キャサリンはヘレンが真夜中に外出するのを目撃した。

第二章 彼女の死体が浮かんでいるのが見つかった・・・・・・

キャサリンが女子寮に戻り、ジニー・パットにジェイミーが逮捕されたことを伝えると彼女は狼狽し、いきさつを細かく説明する羽目になった。

キャサリンは、事件を整理しようと、自分のカバンを開けて驚く。
なんと盗まれたポオの手稿が入っていたのである。
それを見ていた同室のジニー・パットは、とうとう真相を話してくれた。

ヘレンが単位を落とされた腹いせにルアク教授を陥れようとしていることを悟ったジニー・パットは、ボーイフレンドのジェイミー(カーニー)と共謀して、ヘレンの企みを阻止するために、ケースの中のポオの手稿を盗んだのだと。

だが、ジェイミーが図書館でその犯行に及んで、キャサリンと書庫で遭遇したときに、間違えてキャサリンのカバンを持ち帰ったのだ。
そのため、今、キャサリンのカバンだと思って開けた「ジェイミーのカバン」から「ポオの手稿」がでてきて、キャサリンは、びっくりしたというわけである。という説明をしてもらった。

殺人などしていないことが証明できると考えたキャサリンは、友人のトリローニ特別捜査官に電話し、真相を打ち明けた。そのことは、トリローニもルアク教授も分かっていて、警察で抗議してジェイミーを昨夜のうちに釈放させていた。

そこへ、重大な連絡がトリローニ特別捜査官に入電する。
ヘレンが大学の植物園の小さなため池に死体となって浮いているのが発見された!という。

まるで『マリー・ロジェの謎』(1942年ポオの短編小説)だわ!
昨夜のシュルツの事件は『アモンティラードの酒樽』(1946年ポオの短編小説)だった。

第三章 確証が確証を生む

キャサリンは、クライドにヘレンが殺されたことを話し、犯人の推理を始めた。
ヘレンは、シュルツが電話した相手の電話番号はいつか思い出せると警察に話していた。

だから口封じのために殺されたのだと結論付けた。
その話を聞いていた人をリストアップし、アリバイなどから消していくと、残ったのはルアク教授と大富豪のフィリップスだった。(警察が犯人ということは考えなくてよいか。)

さらに、クライドは驚くほどすばらしい推理をして、なぜヘレンが殺されたのかを導いた。
そしてそれを、巡査部長とトリローニ特別捜査官に話そうと決めた。

第四章 しかし、この計算方法は・・・・・・あくまでも数学に則ったものだ

クライドのヘレンの行動の推理を聞いたトリローニ特別捜査官は、感心してその推理をほめた。
だたし、シュルツを殺した容疑者の絞り込み方法の問題点を指摘し、やり直すように言った。

一方、早く事件を片付けたい巡査部長は、意外にもしっかりした推理で犯人をルアク教授であると推定し、逮捕したそうであったが、トリローニ特別捜査官は、ルアク教授が「手稿は本物だ」と信じていた場合は、動機が無くなる点を指摘し、逮捕のためにはそれを覆す証拠と強い動機が必要だと諭して逮捕を想いとどまらせた。

三冊目 モルグ街の殺人

第一章 解き明かしていくという知的活動・・・・・・

キャサリンは、事件の流れを大まかに整理し、電話が重要だと気づいた。
・アーチー・シュルツがジャド・フィリップスに電話したが、いない。
・アーチー・シュルツは謎の人物に電話して、おそらくそいつに殺された。
・ヘレン・ブラックはその謎の人物に電話して、殺された。

キャサリンは、犯人はジャド・フィリップスだと推理した。具体的な説明は省略する。
その考えをトリローニ特別捜査官に話すと、ジャド・フィリップスの家に行こうということになった。

第二章 暖炉の中に見られたので・・・・・・

キャサリンとトリローニは、ジャド・フィリップスの館に到着すると、クライド・ウッドリングがコレクションを見ていた。
おかしなことに、先に来ていたはずのカッツィーの姿がない。

暖炉と二つの窓。執事のレインさんにカッツィーが来た時の様子とその時に何か起こらなかったか確認すると、書斎の電話が鳴ったので、電話に出て十分くらい話をしている間、書斎の扉を閉めていたので、カッツィーが帰ったとしても分からなかったと言った。

そして、執事がコレクションの引き出しを確認して、詩のようなものが無くなっていると言ったとき、暖炉の方から音がして、カッツィーの腕がだらりとぶら下がっているのが見えた!
三人目の殺人が起こってしまった。

第三章 必要なのは、何を観察すべきかを知っていることだ

ショックを受けたキャサリンは、執事が持ってきてくれたウィスキーのストレートを一気に飲んだ。
その間もブーン巡査部長は、聞き取りをし、推理していた。

クライド・ウッドリングは、もう少しで『モルグ街の殺人』みたいになるところだった、と言った。
犯人はどうやって侵入し、どうやって逃げたのか。
ウッドリングはジャド・フィリップスさんとの電話のやり取りと待ち合わせの行き違いについて説明した。

そして、執事は前章のカッツィーが来た時の電話は誰からの電話だったのか、を聞かれて「ルアク教授です」と答えると、一斉にみんながふり向いた!

そのとき、館の主 ジャド・フィリップスがちょうど帰って来た。

第四章 深く考えすぎるということがある

いったい何事かと怒る主のジャド・フィリップスに、トリローニ特別捜査官は、この屋敷で殺人が起こったこと、その推理を話した。

なんと、トリローニ特別捜査官は、その説明の最後に、犯人はこの屋敷の主のジャド・フィリップスだと指摘した。

だが、クライド・ウッドリングは、これに対して正攻法で反対してきた。
ブーン巡査部長は、トリローニ特別捜査官の負けを宣言したので、トリローニ特別捜査官はキャサリンの手を取って屋敷から抜け出した。

四冊目 メッツェンガーシュタイン

第一章 取るに足らない周囲の様子まで詳細に・・・・・・

トリローニ特別捜査官は、キャサリンと共にルアク教授に会い、執事に電話を掛けたときの話の内容を確認した。

誰かが偽者の手稿を売り付けに来るかも知れないから、注意するように、と伝えたとのこと。

ルアク教授は、別れ際に言った「万一、さらなる殺人があるとしたら、・・・ ポオ が好んで用いる二つの方法は・・・埋葬することと、焼き殺すことだ」

第二章 ところが、もっと些細な原因から・・・・・・これに匹敵する忌々しき事態が起こったのである

キャサリンは、クライド・ウッドリングと共に警察出頭し、見たことなどを証言した。
翌日、クライド・ウッドリングは、「ジャド・フィリップスが自分に会いたがっていると連絡があった」ことをキャサリンに話し、内容は電話で伝えると言って約束の場所へ向かった。

ジャド・フィリップスを監視していたトリローニ特別捜査官にそのことを話すと、彼の顔色が変わった。「次の犠牲者はクライド・ウッドリングなのか!」

ところが、事態は意外な方向へと進む。

ジャド・フィリップスと墓地の前で待ち合わせたクライド・ウッドリングは待ちぼうけを食わされたらしい。

そして、トリローニ特別捜査官がキャサリンに電話してきた。「ジャド・フィリップスがどこにもいない!」

第三章 白い炎が・・・埋没布のように・・・

大学のバスケットボールチームがプリンストン大学に勝ったとき、学生たちはバカ騒ぎを計画し実行した。

街の燃えそうなものを集めて燃やし始めた。
しばらくすると、ある男が車でやってきて、この箱を燃やすと面白いぜとかなんとか言って、学生らとその箱を炎の中へ投げ入れた。

箱の中から何か叫び声が聞こえて、燃え尽きた箱からは人骨が出現した!
紛れもなく、ジャド・フィリップスだった。
まるで『メッツェンガーシュタイン』(1832 ポオの短篇小説)のようだ。

第四章 こいつは・・・・・・怪しい性質(たち)のやつだ

フィラデルフィア郡のトマス・グリーアソン検事は、トリローニ特別捜査官に言った。
「今回は、ブーン巡査部長が正解のようだね。」
トリローニ特別捜査官が逮捕してくれと言ったジャド・フィリップスが殺されたからだ。

だが、トリローニ特別捜査官は納得していない。自分が望んだのは、ジャド・フィリップスを逮捕すれば、より多くの情報が得られたうえに、殺されることはなかったと主張した。フィリップスが犯人だと考えたことはない、とも言った。

検察局の執務室に、そのブーン巡査部長やってきた。
彼はルアク教授を犯人だと考えていたが、その考えは改めたようだ。
なんと、クライド・ウッドリングが犯人だと言う。その説明はもっともだった。

キャサリンの友人であるトリローニ特別捜査官は反論する。
その推理は、ヘレン・ブラック殺害の状況証拠としては、確かに矛盾はないが、他の殺人についての検証ができていないと。

ブーン巡査部長は、ひるまない。ひとつの事件さえ証明されれば十分だ。

トマス・グリーアソン検事が聞いた。「動機は何だ?」

またしても、ブーン巡査部長は自信満々で答えた。
「シュルツは、クライド・ウッドリングに大きな借金があったんですよ!」

それを聞いたトマス・グリーアソン検事は、「わかった気がする」といい、推理を述べる。
ブーン巡査部長が喝采を送り言った。トリローニ特別捜査官の反対むなしく、検事は言った。
「ブーンさん、ウッドリングを逮捕してください。」

五冊目 アッシャー家の崩壊

第一章 この種のことがあろうと・・・・・・覚悟はしていたのである

アーチー・シュルツが殺された現場を見ようとする学生で図書館はあふれていた。
その図書館前で出会ったキャサリンとクライド・ウッドリングは、グリークス食堂で話すことにした。

次に狙われるのは、クライド・ウッドリングではないか、という話になったとき、ブーン巡査部長が食道に入って来て、クライド・ウッドリングに尋問を始めた。

キャサリンはブーン巡査部長が尋問しているおとに気づいたが、クライド・ウッドリングはただの質問だと思ってアリバイに関する誘導に応えていた。

キャサリンはヤバいと思ってテーブルの下でクライド・ウッドリングを蹴ろうとしたが、ブーン巡査部長が「痛い!」と声を上げた。(このあたりは私でもクスッとした。)

ブーン巡査部長は、決めてとなるシュルツの借金の件を持ち出したが、クライド・ウッドリングは平然と通帳を見せ、返済済だと答えたが、ブーン巡査部長はそれがシュルツからの振込だとは証明できまいと取り合わない。(逮捕ありきで、ただの通過儀礼のような尋問だ)

もう逮捕されるかと思ったとき、すく後ろにトリローニ特別捜査官が立っていた。
「そこまでだ、ブーン巡査部長!」

間一髪で、クライド・ウッドリングは逮捕を免れた。

第二章 精神のおおいなる集中の所産・・・・・・

トリローニ特別捜査官は、食堂に残ったクライド・ウッドリングから、彼の推理を聞かせてもらった。
その筋道だった推理はよくできていたが、あくまでも推理に過ぎない。
検事からもらった半日の猶予の間に、真犯人を見つけなければクライド・ウッドリングが逮捕されてしまう!

困ったキャサリンは、この事件がいろいろとポオが関わっていることから「ポオかデュパンに力を貸してもらいたいわ」と言った。

それを聞いてアイデアが浮かんだトリローニ特別捜査官は、今夜事件に関係のある全員に図書館のアメリカ文学室に集まってもらい、事件の解決と犯人逮捕のための創意工夫の成果を見せようと言った。

第三章 陰気なアッシャー家の館がみえてきた

ここでは、巨大な図書館のことを、ポオの小説の一節から「アッシャー家」と称している。
ジェイミーとジニーとキャサリンの三人は、トリローニ特別捜査官に言われたとおり、夜になってから図書館に到着した。嵐のため電気が付かず、図書館内はランプで照らされていた。

アメリカ文学室に入ると、すでに六人が到着していた。クライド・ウッドリング、ルアク教授、オストランダー教授、ブーン巡査部長、トリローニ特別捜査官、トム・グリーアソン検事だ。

トリローニ特別捜査官が、ここで犯人を特定すると言い、その特定の前に、盗まれた手稿の問題を解決するといい、展示場所に向った。トリローニ特別捜査官がランプでケースを照らすと、そこには手稿が置いてあり、それを見たみんながざわついた。

その手稿は本物であると、ルアク教授が確認したあと、本題の連続殺人犯を特定する打合せがスタートするところだった。

その次の瞬間、ランプは消えた!

第四章 聞こえないかだって? いや、聞こえる。ずっと聞こえていた!

だが、トリローニ特別捜査官は、ランプの油が切れただけなので、落ち着いて下さいと言い、話を続けた。

殺人の推理をするたびに、生々しい音が聞こえたような気がした。
そして、フィリップスの館でカッツィーが殺された場面の説明で、明らかな音がした。

ランプに照らされ、死んだはずのカッツィーの顔が、空中を水平に移動して近づいてきたのである!

驚きの余り声を発したのは、真犯人のクライド・ウッドリングだった。
お前は死んだはずだ!

そう、恐怖のあまり、人は本当のことを叫んでしまうのだ。この原理を利用した。

エピローグ ユリイカ

わたしがここに提唱していることは真実です

最後のほうで、ジーン・パットとなっているのは、誤植だろうか? (P231ほか)ジニー・パットのはず。。。

クライド・ウッドリングがブーン巡査部長と配下の刑事に連れて行かれた。
残ったみんなにトリローニ特別捜査官が、どうしてクライド・ウッドリングが犯人だと考えたのか、いつから分かっていたのかについて説明した。

それは、「犯罪に表れる犯罪者の心理的人物描写」によって解き明かしたという。

そして、このトリローニ特別捜査官の今回の演出を途中から理解し平然と楽しんでいたのはルアク教授だった。

あとがき

久ぶりに図書館の海外コーナーに行った。今までの少ない経験からすると、翻訳されているからなのか、あるいは書きっぷりのせいなのか、だいたい読みづらいという印象があった。

そのため、なるべく字は大きく、分厚くなく、出来れば比較的新しい綺麗な本を選んだつもりだった。
ところが、読み終わって、訳者のあとがきを読むと、著者のアメリア・レイノルズ・ロングさんが書いたこの本は、1944年の発表だという。

すごい人を引き当てしまったと思った。各編のタイトルが、あの著名なエドガー・アラン・ポオの代表作のタイトルになっていて、各章の冒頭の一節は編のタイトルの作品の中の一節であるという。なんて凝った構成だ。

そして、幻ミステリ研究家の絵夢恵さんの解説によれば、「はじめに」で書いたような、エドガー・アラン・ ポオ の短編小説に見立てた連続殺人事件を解決する特別捜査官とその友人のキャサリンが活躍する『貸本系アメリカンB級ミステリー』とのこと。B級って何? ミステリーに文学性など求めなくていいよ。娯楽性ならA級だ。

また貸本系というのも良く分からないが、1930年代からアメリカでは貸本スタイルが流行したらしい。その代表がフェニックス社でトップスターがアメリア・レイノルズ・ロングだったという。人気が出過ぎて4つのペンネームで出版社毎に書き分けたという。以下()内は主役の探偵。

・アメリア・レイノルズ・ロング Amelia Reynolds Long
 (赤毛の犯罪心理学者 エドワード・トリローニー、新米女流推理作家 キャサリン・パイパー嬢(愛称ピーター)、弁護士 ステファン・カーター)
・パトリック・レイン Patrick Laing
 (盲目の心理学者 パトリック・レイン)
・エイドリアン・レイノルズ Adrian Reynolds
 (英文学の大学教授 デニス・バリー)
・カスリーン・バディントン・コックス Kathleen Buddington Coxe

そして、例えるなら「アメリカの横溝正史」だという。私の好みにもぴったり!?
その作品が、
・幽霊屋敷 4 Feet in the Grave
・ブードゥーの呪い Murder by Scripture
・謎の人狼 It’s Death My Daring
・呪いのミイラ Death Wears Scarab
・霊魂による密室殺人 Murder by Magic
・消失する部屋 The House with Green Shudders
・小人の妖魔 Leprechaun Murders
・アーサー王伝説 The Round Table Murder

1944年の発表ながら、日本語に翻訳されたのが2016年12月ということです。
七十年以上も経過してもたらされた本書に感銘を受けたので、海外ミステリーにも目を向けようと思いました。

アメリア・レイノルズ・ロングさんのプロフィール

 別名義にパトリック・レイン、エイドリアン・レイノルズ、カスリーン・バディントン・コックス。1904年、アメリカ、ペンシルバニア州生まれ。1930年代にパルプ雑誌へ短編SFを発表し、やがて長編ミステリの筆も執るようになる。精力的な作家活動を展開するも、52年発表の“The Round Table Murders”を最後にミステリの執筆を終え、以後は作詩と教科書編纂に専念。78年、死去。(WEB上の紹介文より)

訳者 赤星美樹(あかぼし・みき)

明治大学文学部文学科卒。一般教養書を中心に翻訳協力多数。(WEB上の紹介文より)

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