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『星が人を愛すことなかれ』 斜線堂有紀 のあらすじと感想

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この本の表紙の絵が漫画チックではあったが、無人の貸し出しマシーンのおかげで借りることができた。
実際には、作家の珍しい名前とタイトルの意味がよく分からず引っかかったことで、この本を手に取ってしまった。
そして、若い人たちの話すことばに驚いた。いくら斜線堂さんが若いと言っても、ティーンエイジャーの話す言葉に詳しいのは取材能力の高さを物語るのか別の理由があるのか、わたしには分からない。
この物語の作者である斜線堂有紀さんは、30代前半の見女麗しき女性作家である。

目次

あらすじと感想

1.ミニカーを捨てよ、春を呪え

冬美は恋人の渓介と結婚を意識しているが、渓介はアイドルの赤羽瑠璃を推しており、全てにおいて彼女を優先する。推しと恋人、本当に愛されているのはどっちだと悩む冬美。
結婚と妥協というテーマにアイドルが加わった場合の例のようなお話。
我が家にしたって、TVに出てくる女優さんを見て私は可愛いと発言し、妻は昔からのファンが出てきたら喜んでTVにかじりついているのだ。だから冬美と渓介の例は昔からよくある話だとは思うが、どちらも愛のまがい物なのだろうか。

2.星が人を愛すことなかれ

「東京グレーテル」の元メンバーの雪里は、プロダクションの木田社長に見いだされて、Vtuberとして活動を始めた。生活時間のすべてを配信のために捧げる彼女は、なんと二百万人に愛される人気Vtuberとなる。だが、人気と引き換えに、雪里は次第に恋人の龍人との時間すらとれなくなっていく。しかもファンは雪里に他人との恋愛を求めない。彼から求婚された雪里は・・・。
星というのはスターのことであり、ここでは「東京グレーテル」の赤羽瑠璃やVtuberのめいめいこと雪里のことである。その星が人を愛することなかれ、というのである。完璧なアイドルを演じる彼女たちの姿を読んで、わたしは松田聖子を思い浮かべていた。

3.枯れ木の花は燃えるか

「東京グレーテル」のメンバーの希美は地下メンズアイドル「帝都ヘンゼル」のミンくんこと民生ルイと付き合っている。そして、ファンのちゃおまよとルイのベッド写真が流出してSNSが炎上する。希美は復讐の為にルイと関係を持ったファンと会い、炎上を加速させてルイを叩き潰そうとするが、そのファンたちは希美を上まわる炎上ネタを持っていた。ここで使われる若い女性らの話し言葉はよく書かれているが、こんな日本語でいいのかとも思ってしまう。

4.星の一生

「東京グレーテル」のカリスマ・赤羽瑠璃。かつて自分のファンである渓介に恋をし、ストーキングのあげく部屋まで侵入し渓介のテディベアを盗んだ女。渓介を諦められない瑠璃は、彼のSNSアカウントを監視し続ける。ある日瑠璃は、渓介が恋人の冬美と結婚することを知る。
渓介はずっと瑠璃がアイドルを演じるためのガイドライン、いや経典だった。
瑠璃は結婚式で告白しようと式場へ。だが、ウェディングソングに自分の曲が使われると知って告白が出来なくなる。
そのかわり、一生芸能界で生きてゆくと決心した。
妻となる冬美のことが嫌いな瑠璃が、世に出続けて渓介に瑠璃を忘れさないという呪いを掛けるために。
肩の力を抜いて生きた方がいいと思うが、恋愛し続けていると、そうはいかないようである。

書籍情報

・形式        単行本
・出版社            株式会社 集英社
・ページ数      224頁
・著者          斜線堂有紀
・発行        2024年8月31日
・分類        恋愛小説

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著者情報

秋田県生まれ。埼玉県育ち。上智大学文学部ドイツ文学科卒業。

大学在学中であった2016年10月、投稿作「キネマ探偵カレイドミステリー」にて、第23回電撃小説大賞の「メディアワークス文庫賞」を受賞。翌年、同作にて作家デビュー。ペンネームは島田荘司『斜め屋敷の犯罪』から。

2021年2月、『楽園とは探偵の不在なり』が第21回本格ミステリ大賞(小説部門)候補作となり、注目を浴びる。2023年~2025年、日本SF大賞の選考委員をつとめた。 2024年『星が人を愛すことなかれ』にて、第4回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞を受賞。(ネットの情報から)


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