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極上の罠をあなたに 深木章子 便利屋が背徳の町の悪党を華麗に騙す!

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目次

内容紹介 深木章子 の 便利屋 という 罠 に ハマる

「便利屋」という新しいキャラクターが登場する本格ミステリー小説で、政治家や葬儀屋、捜査一課の刑事など悪党が登場する背徳の町で繰り広げられる事件を便利屋が知力で騙していくストーリー。便利屋は傍観者のように振る舞いつつ、最終的に事件の帰着を支配する。物語は、悪党たちが、便利屋に仕事を依頼することから始まる、4つの事件の連作短篇。最終話で読者を驚かせる展開が待っている。著者は、みき・あきこさんです。

第一章 便利屋

便利屋と名乗る不信なやつからのダイレクトメールがきた。
木戸は賭場で借金して、取り立てに追われている身であった。
彼は借金問題を解決すべく、便利屋を使うことにした。

木戸が秘書を務める市議会議員の権田滋四十三歳は、二歳の息子が誘拐され、五千万円の身代金を要求されていた。
秘書の木戸は事務所の金庫から「五千万」を取ってくるよう指示された。
警察に連絡したら息子の命はない。
ところが、木戸が金を持って事務所を出たとたん、暴漢に襲われ五千万円を奪われたと、木戸本人から連絡が入った。

この事件を担当することになった都築警部補も賭場で借金をしていた。
彼は、木戸が誘拐犯だと推察して彼をマークする。
そしてこの事件を利用して、都築は自分の借金問題を解決しようと考え、彼も便利屋を使うことにした。

木戸は、便利屋を誘拐犯に仕立てて五千万円を着服しようと思いつき、一方、都築は木戸が盗んだはずの五千万円をだまし取ることを考えたのだ。世の中、悪党ばかりである。

だが、便利屋はその上を行く。 

↓つづきはいかがでしょうか。

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第二章 動かぬ証拠

またしても、便利屋からのダイレクトメール。受け取ったのは、綱島麻利絵。
第一章の男と同じく、彼女も連絡は公衆電話で、会ってから決める作戦。

一方、綱島圭介。ホテル、飲食店の経営に加え、不動産取引から金融までを手掛ける、株式会社綱島の社長である。四十三歳。

(計画通り)
圭介は妻の浮気をほのめかすダイレクトメールを入手。写真と簡単なメッセージのみ。
圭介は、妻の浮気相手は弟の明彦であると確信し、東京の興信所に調査を依頼した。
浮気のために明彦は実家を留守にしているはずで、圭介は浮気の証拠を捜すため綱島邸(弟の家)に向かった。

(想定外)
明彦の恋人の久保佳奈美が、綱島邸を訪ねると、なんと明彦は撲殺されており、駆け付けた警察により二階に隠れていた圭介が発見された。

圭介が無実であることを麻利絵は知っている。
妻は、財産相続権を守るためには、夫が殺人犯では困るのである。

この窮地を救う(犯罪者を救ってはいけないのだが)が、便利屋である。

↓つづきはいかがでしょうか。

第三章 死体が入用

中堅専門商社の奥田は、三十代後半で営業部長に大抜擢され、少し調子に乗りすぎた。
強請りタカリまがいのやり方で、腹心の部下や手なずけたはずの経理の女に造反され、窮地に追い込まれていた。
そんなとき、便利屋のダイレクトメールが配達されたのである。

もう、自分は死んだことにするしかないと、裏の仕事も請け負っているという噂の葬儀屋・安城式典に相談した。
「自分は死んだことにして、火葬してくれ!」
そして、死体を便利屋に準備させるのである。

安城式典の社長、安城は奥田からの依頼を引き受けた。
医療関係者に支払う偽の死亡診断書などの代金は二千万円かかるという。
おそらく、安城が相当ピンハネしているだろう。
奥田は診断書を書いた医師を強請って金を取り返そうと考えた。

そのやり方は、自分は探偵を名乗り、被害者遺族の依頼で不審な死を遂げた男の調査をした結果、あなたに辿り着いたのだ、というシナリオで、医師をゆするつもりだ。

ゆすりを受けた病院から呼び出しを受けた葬儀屋の安城は、ゆすりの犯人へ金を払い、事を治める約束をさせられた。
本業にまで影響が出たら困るからだ。

ところが、その翌日、その安城の死体が市内の山林で発見された。

↓つづきはいかがでしょうか。

第四章 悪花繚乱

警察庁長官室に、笹井警視、三十二歳が呼ばれていた。
彼は長官直属の特命チーム<プロジェクトD>の主力メンバーである。
前章の「安藤式典社長殺害事件」の犯人がいまだ掴めていないが、その捜査状況を報告しているのだ。
合わせて、県警刑事部長の四宮駿介警視正が綱紀の緩みを招いている元凶であることも報告した。

片倉憲太なるドラ息子。親父のせいでこうなった。思慮浅く、根性もないのに盛り場好きだ。
そして、美人局に引っかかった。
女と共犯の中年男に五百万円を要求され、払わないと殺し屋を派遣すると脅された。

憲太がアパートに帰ると、殺し屋と思しき男を発見。とっさに購入したばかりのサバイバルナイフで男を刺殺した。
憲太は迷った挙句、母親にも相談せず外出をして帰ると、死体は無くなり、代わりに殺人現場の写真とその裏に新たな脅迫文が記載されていた。「五千万円を用意しろ!」

困り果てたカリスマ美容師兼教育評論家である憲太の母親が、悪徳弁護士の藤代太吉法律事務所に相談に来た。
だが、殺人という案件の重さに耐えかねたのか、藤代は悪徳警察官の都築にどうしたものかと相談している。
弁護士の藤代から、殺害現場の写真をみせられた都築は絶句する。
そこに写っていた死体は、あの便利屋だった。

↓つづきはいかがでしょうか。

深木 章子さんのプロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目を集めている。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』(本書の紹介文より)

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