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スナック 墓場 なんだか、この街に住んでいるような気になってしまう バイトのハラちゃん 細身の美園ママ 色気のない克子の三人の身の上話も聞いてみようか

昨夜、スナックで大金を払ったわたしが、この本を発見した時、自分と同じような境遇の寂しい男の話でも読んで気持ちをリセットしようというつもりで読むことにしたのであるが、ちょっとちがうようだ。一気に読んでしまった。ほのぼの感が残った。

スナック墓場 [ 嶋津 輝 ]
目次

あらすじ・感想

ラインのふたり

工場の製品を詰めるラインで、仲良くなったおばさんの話。

規則違反で、こっそり車で通勤しているのだ。

自分らの子供くらいの若い女性監督者に監視されながらの日常。霧子はちょっと年上の亜耶に助けられてから接近した。

支配されるわけでもなく、パートの仕事をハローワークで探しながらの平凡な毎日での、ちょっとした緊張感のある日々。

工場勤務のパートさんのなかには、霧子と同じような境遇の人もいるのではないか。

霧子は、もともとは大手スーパーで総合職を務めていたのに、勤続二十五年を過ぎて、転勤による自主退職に追い込まれたのだ

霧子さんの生き方に共感するかも知れない。

カシさん

クリーニング屋の夫婦と三十代の新しい女性客のお話。まじめな(はずの)ご主人は、その女が妻がいないときに来店して、派手な下着まで出そうとして困ったり、次に来たときは、ノーブラノーパンで来たので変なことを考えたりするのだ。

ご主人の困惑をよそに、妻とその女性客のカシさんは仲良くなっていく。

妻もたまにご主人が知らない面を見せたりして、長年連れ添った夫婦でも、とかちょっと考えさせられるなあ。

これから何か起こるのかと期待してると、そこで終わった。この続きを書きたい。妄想が広がったままだ

姉といもうと

両親を亡くした、20代の姉妹。いもうとの多美子の両手の指は、合わせて四本しかない

でも、いもうとは、のほほんとして明るい。家事も仕込まれて逞しく育ち、姉の身長を超えて165センチはある。

いもうとは、大学まで出たのに、縁あってラブホテルの受付をしており、姉の里香は家政婦をしていた。

両親が家を残してくれたので、姉妹ふたりでなんとか暮らせている。

あるとき、姉の里香は、妹に「料理も掃除も上手だけど好きじゃないでしょ。なんで家政婦なの」と聞かれて困った。
幸田文の小説が好きで、登場する家政婦の梨花(里香とおなじ「りか」の読み)に憧れたということしか浮かばない。

そんな姉妹と家政婦先の夫婦のことや、いもうとのバイト先のラブホテルを経営している老夫婦とのかかわりが、ほがらかで心地よい。(なんでラブホテルなんや、は読んだら分かります。)

駐車場の猫

商店街の布団やの夫婦と向かいのふぐ料理やと何匹かの地域猫のお話。

ただそれだけ。でも超リアルにその生活感や猫のことを心配する夫婦の気持ちが伝わってきて、なんかほっとするのである。

米屋の母娘

米屋の母娘は出てくるが、主人公はその米屋で安いスカスカの弁当を買う、向かいのマンションの母息子である。

それにしても、主人公の母は…、それはいいとして。

米屋の娘はまあまあ可愛いのに愛想が無いと文句をつけるのかと思ったら、主人公はMっ気があるみたいでうれしそうで、変なやつらだ。だからなんだというオチもない

一等賞

ユキは商店街のそば屋でアルバイト。ユキの棲むアパートの並びに、たまに発作がでる荒雄さんは、信用金庫で働くお姉さんと住んでいる。

商店街の人たちは荒雄さんの発作時の徘徊?の扱いは手慣れたものだ。次々に会話のバトンを渡して、最後には自宅へ導いて、一件落着というのがパターンだ。

ユキは、父の使いでよく「おにころし」の2リットルを買いに行った。商店街の人たちとも顔見知りとなり、引く手あまたのアルバイターとなった。

最近は化粧品屋へ店番行く。ユキが店に行くと、美人奥さんは出かけて行った。

しばらくして、荒雄さんが発作を起こして商店街にやってきた!

今日のリレーは、なんかいつもと違う。そーだ、いつも荒雄さんに「お家へ帰りなさい」と締めくくる化粧品屋の奥さんは出かけてしまっていないのだ。さあユキ、どうする!

スナック墓場

キレイどころがひとりもいないスナック「波止場」は、なぜか繁盛していた。
ママ、克子、ハラちゃんの三人で店をやっている。
“お通しは無料、客が入れたボトルはだいじに扱うが、それ以外はお酒の注ぎ方を決してけちらない、(中略)常連さんにもいちげんさんにも、同じように語りかけ、同じように心を配り、店がたてこめばみなを等しく雑に扱った。
おお、そのとおりだ、と思ったので、下線を引きました。

ハラちゃんには、客の注文が前もって分かるという特技があった。
子供のころに、裏の崖が土砂崩れを起こして一家全滅するのを予知していた。

そして、スナックの常連の高齢者たちが、数か月ごとに亡くなっていき、ついにオーナーまでなくなり、雇われママのお店は終了することになった。これぞスナック波止場ならぬスナック墓場だと言われた。 スナックを閉めたあと、三人は年一回集まって旧交を温めた。

そして、競馬場へ行くことになり、克子は、本人が気づいていないハラちゃんの予知能力を利用して万馬券をゲットした。そしてつぎにハラちゃんが自分で買った馬券のレースで、馬たちが最終コーナーに来た時、彼女は「そのままーーー」と叫んだら、馬はそのままの順位でゴーーール!!!

ということは、予知能力というより。。。

スナック墓場 [ 嶋津 輝 ]

嶋津 輝(しまづ・てる)さんのプロフィール

1969年東京都生まれ。2015年「カシさん」が、第一回林芙美子文学賞の最終候補に残る。16年、「姉といもうと」が第九十六回オール讀物新人賞を受賞

17年発表の「ラインのふたり」がアンソロジー「女ともだち」(文春文庫)に、18年発表の「一等賞」が、その年のベスト短編集を集めた日本文藝家協会編「短編ベストコレクション 現代の小説2019」に収録されるなど、単行本刊行前から注目を集めている(本書の紹介文より)

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この記事を書いた人

ソフトウェア会社サラリーマン。書店や図書館で見つけた本の読書録を残したいと考えブログに書いています。ミステリー、時代小説、資格維持のための教養本などジャンルを問わずに読んでいます。読書録に加えてちょっとしたアイデアなども書けたらと思います。

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