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やってみなはれ みとくんなはれ サントリーのおもろい話

やってみなはれ みとくんなはれ  山口瞳、開高健

~文庫版の裏表紙から引用~

赤玉ポートワインで莫大な利益を得ながら、危険を冒して日本初の国産ウィスキー製造に取り組んだサントリーの創始者・鳥井信治郎。戦後の経済成長のなか、父親譲りの「やってみなはれ」精神で次々と新分野に挑戦しながら、念願のビール市場参入を果たした二代目・佐治敬三。ベンチャー精神溢れる企業の歴史を、同社宣伝部出身の芥川賞・直木賞作家コンビが綴った「幻のサントリー社史」

青雲の志について ―小説・鳥井信治郎― 山口瞳 1962年・直木賞

から、私の記憶に残った内容を取り出してみました。

昭和三十三年 寿屋東京支店 サントリーオールドは売れすぎ完売、トリスはウィスキーの代名詞、銀座や新橋のどんどんバーが増えたらしい。そのころ赤玉ポートワインは安定商品であった。

信治郎が幼い頃、信心深い母親に連れられ、祖父の墓のある一心寺へも釣鐘町の自宅から連れて行かれたのである。そして、天満の天神さんへも参ったとき、たくさんの乞食が並んで座っており、母親からお金を頂いて、面白半分に金を投げ与えた際に、後ろをふり向いて、お礼を言う姿を見ようとすると、大変きつい剣幕で、後ろをふり向いてはいけないと言われたわけは、陰徳を積ませるためであったらしい。陰徳にお礼はいらない。むしろお礼を受けてしまう(見てしまう)と、差し引き零となり、陰徳の功徳はいただけないということらしい。

山口氏は、信治郎に、突進力・努力・勉強・苦学力行・独立心・パイオニア精神やスケールの大きさなどを感じたらしい。

どう見ても善良なサラリーマンにはなれない、家庭の幸福は念頭になかった。すべては事業・仕事であったと。この突進力を「青雲の志」と名付けたい。明治から大正の末にかけては、やみくもに進むよりほかなく、事業を興すものは開拓者たることを免れない。

サントリーの社員は、鳥井信治郎のことを社長とは呼ばない。「大将」である。三井、三菱、住友などの大会社の社長だけが社長であって、寿屋などは大将でいい。信治郎はそういう命令を出したのである。

ひとつの社内の秘密を発表しよう。サントリーウイスキーは、昭和六年には仕込みを行わなかったのである。金が底をつきできなかったのである。

従ってサントリーの酒庫には「1931」という年号を記した樽が無いのである。

なぜ、信治郎は、ウィスキー製造に踏み切ったか。

ウィスキーこそは洋酒の王者である。洋酒業界に志をたてた以上、ウィスキーをやってみるべきであると考えたのかもしれない。

サントリーという命名に関しては、さまざまの伝説が残っている。その真実は、サントリーのサンは太陽すなわち赤玉であり、「赤玉の鳥井さん」だからサントリーなのである。

昭和二十年の空襲で、多くの工場がなくなってしまう。

「山崎があるやおまへんか」

山崎工場のウィスキーの原酒は横穴を掘って、そのなかに積んであった。

「山崎が・・・」

「やってみなはれ」信治郎は、笑って、瓦礫の中を歩きだした。

寿屋の全工場、全農園、全社員が死んでしまっているときに、サントリーの樽だけが生きていた。樽の中で原酒が呼吸をしていた。

こうして、サントリーウィスキーは生き残り、今も世界で飲まれているのである。

やってみなはれ ―サントリーの七十年・戦後編― 開高健 1958年・芥川賞

から、記憶に残る内容を取り出してみます。

開高さんは、釣りをする人という印象しかなかったが、サントリーの社員だったとは知らなかった。

戦後の駅前の闇市は民族の野営地であった。

厚木飛行場にコーン・パイプをくわえて降りたマッカーサーはただちに行政をはじめた。

“敗戦”を“終戦”といいまぎらした日本人は、“占領軍”を“進駐軍”といいまぎらしたが、共産党はこれを“解放軍”と規定してとんでもないおめでたさを見せた。

大阪の占領軍司令部は新大阪ホテルに設けられたが、すぐさま鳥井信治郎はサントリーをさげて司令部に乗り込み、取引の交渉を開始した。

戦前のウィスキーは国産、外国産を問わず、超上流の人々の嗜好に過ぎず、一般の人々にとっては香水に近いようなものであった。

そして、サントリービールの販売が始まる。散々悪口を言われるが酒屋やお店などを回り、頭を下げて頼みつづけた。

これによって、組織は徳を回復した。

その後の「やってみなはれ」 齋藤由香

いずれの両名にせよ、会社にせよ、とんでもなく自由な感じだったことに驚き、会社経営の大変さが分かる社史でした。

開高 健さんの「編集者マグナ・カルタ」が面白い。

読め。

耳を立てろ。

眼を開いたままで眠れ。

右足で一歩一歩歩きつつ、

左足で跳べ。

トラブルを歓迎しろ。

遊べ。

飲め。

抱け。抱かれろ。

神羅万象に多情多恨たれ。

補遺ひとつ。女に泣かされろ。

右(上)の諸原則を毎食前食後、

欠かさず暗誦なさるべし。

御名御璽 開高 健

とにかくみんな忙しい。電話が鳴り響く。会議や資料作りで追われる。廊下を走る。

開高が言う「悠々として急げ」

こんな会社で働いてみたかった。いや、今ならブラックでしょ。。。

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この記事を書いた人

ソフトウェア会社サラリーマン。書店や図書館で見つけた本の読書録を残したいと考えブログに書いています。ミステリー、時代小説、資格維持のための教養本などジャンルを問わずに読んでいます。読書録に加えてちょっとしたアイデアなども書けたらと思います。

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