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5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 熊谷 徹 ドイツ人のようには、なれないのか。

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目次:

同じ敗戦国のはずなのに、なぜドイツ人は5時に帰れるのか? 日本人の生産性の低さはどこに原因があるのか? この本を読んで思うのは、個人でできることは限られているが、やった人だけができるということだろうか。以下は、ドイツはこうなんだぜ~ということを整理してみた。行動は自分で起こすしかない。政府の施策や会社の意識改革を待っていても人生には時間がない。

序 章 日本の働き方は改革できるのか?

国際労働機関(ILO)は、「年次有給休暇に関する条約」(132号条約)で、労働者は1年の勤務につき、3労働週(週5日制なら15日)の連続有給休暇が原則と定めている。休暇を分割する場合も、一部は連続2労働週を下らないこととなっている。
ところが日本はこの条約を批准していない。

日本は労働者の健康や自由よりも、業績の拡大を優先させており、電通新入社員の過労自殺を招いたといえる。日本の労働基準法は労働時間の上限を1日8時間と定めながらも、残業時間には制限がなかった。

36協定で、労使が「特別な事情」を合意すれば、残業時間を設定できてしまう。
電通新入社員の過労自殺を契機にして、1か月80時間残業が2カ月から6か月続くとこれを過労死ラインとしたが、十分とはいえない。

第1章 なぜドイツは残業なしでも経済大国なのか?

それは、法律の規制が厳しいからだ。徹底した法治主義がある。また、ドイツ人自身が効率を重視し、無駄を嫌うメンタリティーによるところが大きい。プライベートを充実させ、滅私奉公の精神は皆無である。

日本が見習うとすれば、労働契約書を交わし、それ以外の仕事は断ることだ。ドイツ人は契約書に書いてなければ、上司が頼んでもコピーは拒否するのだ。

第2章 国による厳しい監視が必要

ドイツの労働組合は、日本よりはるかに行動的で、問題が発生した場合はすぐに監督官庁や労働裁判所に駆け込んでくれる。
会社側への罰金もあり、抜き打ちで長時間労働の検査がある。発覚すると経営者は前科者になる。日本では告発がないと検査はあまり行われない。
このような状況のため、ドイツでは過労自殺は問題となっていない。

第3章 残業よりも早い帰宅を評価する

ドイツの管理職は、部下が長時間労働をして、監督所から罰金の支払いを命じられると、会社の金ではなく、自分のポケットマネーから払わされることがある。勤務評定も悪化し、出世の道が絶たれることになる。

いい仕事をするには休暇が必要で、最低2週間は必要だという認識が一般的だ。
日本の休みといえば、お盆とかGWに集中してみんなが休むため、どこも渋滞や満員で、休暇を取る方が疲れてしまう。本末転倒である。また、長期休暇を取ったからと言って評価が下がることもない。

ドイツでは、有給休暇と病欠は区別している。日本人は病気で有給休暇を消費していまう。日本人はリフレッシュするという本来の休暇の取り方ができていない。日本政府もドイツのような病欠時にも給料を払うという法整備をすべきだろう。

無駄を嫌う国民性があり、ドイツ語には、日本語の「頑張る」に100%あてはまる言葉は存在しない。「結果だめだった、よく頑張った」という褒め言葉はない。むしろ無駄な時間を費やしたとして批判される。

余談的な情報だが、ドイツの教育制度では、10歳時点の成績で大学などで高等教育を受けるか、それ以外の道へ進むか決まってしまうらしい。敗者復活もないらしい。これは驚きである。そして勉強での疲れを癒すための夏休みや冬休みは宿題が禁止されているそうである。受験戦争とか塾とか無いのだ。

第4章 ドイツの仕事は個人ではなく会社につく

日本では仕事が担当者に固定されているが、ドイツでは仕事が共有されており、担当者が休暇を取っても問題ないようになっている。
休暇中は会社のメールは読まないし、通常時にメールするときも数は少ないほどよく、根回しなどもあまりしない。これも根回しの成果が生まれなかったら、時間の無駄ということで評価されないのだ。

第5章 過剰なサービスを減らして時短を実現

日本では忖度するが、そんなことはサービス過剰ということで、ドイツでは全くされない。ドイツは低サービスの国だそうで、日本人がドイツで暮らすなら、その覚悟が必要だろう。

また、企業同士の関係も、日本の「下請け」というへりくだった認識はない。
取引先から急な依頼を受けても、残業しなければできないときは、断るのが当たり前らしい。

第6章 日本でも働き方の意識改革が必要だ

日本は性善説で規則がゆるい、これに対してドイツは性悪説で規制が厳しい。
日本はまだまだ社会全体が、働き方に対する前近代的な固定観念が拭えていない。
定時退社、長期休暇取得が、当たり前の労働者の姿であることを、社会の共通理解としていかなくてはならない。

取締役会での労働組合の権限にも大きな違いがあるようだ。
従業員数500人超~2000人未満の企業では、監査役会のメンバーの3分の1、同2000人を超える企業では、なんと監査役会のメンバーの半数が労働組合の代表で占められなければならないのである。

日本のメディア業界自体も残業体質なこともあり、電通新入社員の過労自殺を一時大きく取り上げたが、その後の関心が低い。

ドイツ人のように、健康第一の考えで、余裕を持って仕事に取組み成果を出すことを目的(森)としたい。木(頑張る、サービスを高める)をみて森(目的)見ないことにならぬよう、ワークライフバランスを重んじることが大切である。

ドイツを含むヨーロッパ人は、「自分はいつ死ぬかわからない。年を取ったら病気になる可能性が高まる。そう考えると、年を取ってからではなく、20~30代にまとまった休暇を取って、旅行をするなどして人生を楽しんでおくべきだ」と考えている。

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