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この記事の目次

ニルヤの島 柴田勝家 第二回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作

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この本を読んで、記録のためのあらすじと感想を残しています。じっくり読みたい方は本をお読みになってからご覧ください。
さて、この本を読了するために、相当の根気と忍耐を要してしまった。
まるでコンピュータの記憶装置の物理的配置が散乱しているのと同じようにいくつもの物語がバラバラに?関係しながら?進行するのだ。
わたしが追随できる並行ストーリーはせいぜい二つまでである。この物語では四つもある。
贈与、転写、弑殺(しいさつ)、蓄積のストーリーが、それぞれ1章から7章まで物語を持ち、しかも不規則に並んでいる。まるでコンピュータの記憶装置のフラグメンテーションのように。私の脳の忍耐と読書能力を超えていた。
途中で投げだすのが悔しくて、読み方を変えてみた。こんな風に読まれることは、作者の本意ではないと思いつつも、読了したかった。
4種類のストーリー×各7章を、1種類のストーリーずつ読むことにした。贈与1~7、転写1~7というふうに。
本を4冊読むような感じになるが、ストーリーを理解するためには、仕方がなかった。
最後に「結合」という章があるので繋がるだろうと予測して。
この要約だけでも、読み返すのは大変だったし、うまくまとめられたとは思っていない。人物相関図は完成できなかった。

目次:

登場人物一覧(この本にはあらかじめこの情報が目次のあとに記載されていた。)

イリアス・ノヴァク教授 日本国籍の文化人類学者、
ヒロヤ・オバック ノヴァク教授のツアーガイド、
ケンジ・オバック ヒロヤの祖父、
ヨハンナ・マルムクヴィスト スウェーデン人摸倣子行動学者、
トリ― 現地ガイド、
ベータ・ハイドリ ポンペイ島で盤上遊戯を続ける老人、
タヤ 橋上島で働く潜水技師。橋上島の労働者のリーダー、
黒い髪のニイル タヤに付き従う娘、
赤茶色の髪の娘 ケンジに付き従う娘、
母 タヤの幼馴染だった女性、
ペーター・ワイスマン S&C社のCEO

前兆 P7-10

俺は、じいさんに言われた。「お前の肌は白いな」 「お前の名前は、昔の俺のトモダチの名前だ。」

「死後の世界と言うものは、単なる文化の模倣子に過ぎない。」
人にはもう、死後の世界はいらないのだという。

カヌーに乗り、どこかの島へ行くらしい。乗っているのは、ヒロヤと祖父だろうか。アパタンと呼ばれる男も乗っている。

カヌーは波にのまれ、・・・。

贈与1 P11-28

主観時刻の2069年5月13日。
(時間というものが、はっきりと分からないらしい。絶対的な時刻が分からないため、主観時刻と言っているのか。)

(固有名詞が登場した。ノヴァク教授だ。登場人物一覧にもあった。
また、SF小説の固有の造語らしき、「叙述補記人(ナラティビスト)」という言葉も登場した。記憶に関することを司る能力者であろうか。この内容に着いて行けるのか、早くも心配になってきた。)

『叙述補記人の説明は、いつだっていい加減だ。主観時刻が個人の人生をより豊かにさせ、物語性を獲得するといったって、それを認識すること自体、次のスケジュールに至った瞬間だ。今の一瞬は所詮、感覚によった空間の把握に過ぎない。』

(と、まあこのような世界らしい。
どうも、頭が混乱するような世界である。物語を認識するのは、次のスケジュールに至った瞬間?行動はすべてスケジュールされているのか?自由はないのか?)

旅行をするときに起こるもので、感覚としては、一度読んだことがある本を、バラバラに読みなおす感じ。但し、つぎの場面を想像することはできない。思考を乗っ取られるのか?

こうしたことを可能にしたのが、生体受像(ビオヴィス)の技術と脳科学の進歩だ。
『人生に物語を。精神的に安定した人生の概念。使い古されたスローガンだ。生体受像に自然と溜まるログに意味付けし、順序を与えて物語化するだけ』

(どうやら、コンピュータの記憶媒体における、長期使用による断片化やガーベージコレクション、断片化の整理などによるリソースの有効活用のための、現代に既にあるコンピュータの技術を、人間の脳に適用した未来だろうか。)

(これは、かなりの問題提起である。物語化されない人生の日々の部分は無駄だから忘れましょうということか。そして、実際の時系列を無視して記憶を再配置してしまうことが、幸せなのか、という疑問がまず浮ぶ。作者はどうとも言ってはいない。)

『今日の予定は彼(ヒロヤ)の祖父に会うというものだが、その理由は理解しているが知覚はしていない。・・・死後の世界は無意味だよ。叙述された今だけがあれば、それを埋める機能は必要としないのだから』

(まだよく理解できない。)

(祖父は認知症のようだ。これを「老化による断片化」と表現している。なるほど、認知症が進んだ老人の脳の記憶を整理してあげると治療にはいいという発想は、ありかも知れないと思いながら、ついさっきのことを忘れる認知症の症状はリカバリーできないなとも思う。)

機械制御の自動運行船が開発され、大環橋と呼ばれる海上交通網ができたため、人が操舵する船は不要のものとなっている。

認識したのは五月十日、第一スケジュールの三日前。
生体受像では、目の前の状況が変わるのだろうか。「今、主観時刻が不思議な挙動をしたんだ。」

この国の国民の98パーセントが生体受像を使っており、生体受像を通して、国民が常に政策を評価している。政治家は国民の声を拾い上げて実行するだけのようだ。(たしかに無駄がない。脳にスマホが埋まってるようなものなのか。)

「個人の意識は生体受像によって保存され、死後も生前のログを引き出すことができる。」 (誰が引き出すのか、そんなことができたら個人情報保護はどうなるのか?死んだ人は隠し事ができない社会になっているのか?)

予定では、今はニューヤップ島へ向かう途中。磁気浮動運行車の行く手をさえぎるのは、モデカイト教主とカニクイザルたち。「モデカイト(という宗教)は死後の世界を説きます。人は死ぬとそこへ行くという。それがニルヤの島」

転写1 P29-39

この章の主人公は、ミズ.マルムクヴィスト。そしてガイドのトニーが登場する。
ここは小さい島、アンガウル。本島はバベルダオブというらしい。国名はパラオか。

ミズ.マルムクヴィストは、模倣子行動学者で、この島のサルを研究対象としている。
サルにも社会性があるのか。利己的なだけなのか。
『人間社会とは、種としての生存性を高めようとする利己性が利他性を選択した。』
(なるほど、結局自分の身を守るために、周りとの関係から獲物を分け合ったりするのは、結局自分のためなのか。)

食事をしながらの、マルムクヴィストとトニーの会話は進んで行く。『世界の各地では純粋な信仰としての葬儀はほとんどが姿を消している。死後生存仮説はとっくに否定されている。』
(ということは、寺とか墓地も無くなった世界なのだろうか。)
『ただ奴ら(統集派)は言うんです。人は死んだらどこかの島に行くんだと』

話ている二人の前を通りかかった葬列がサルに襲われ、棺が倒れて中の者が露わとなったとき、ミズ.マルムクヴィストは「あれは、私の子よ」という。(理解不能。。。)

弑殺1 P40-48

ここは、ポンペイ島。ミクロネシア連邦行政地区(略してECM)。
どうやら登場人物たちは、オンラインでゲームをしているようだ。

「君」とは誰のことなのか?
ここでの物語は、ある人物が君に(君の脳に)話しかける。
君は新入社員で、閉ざされた島で盤上の遊戯に興じればよい。
かつて、ロビン・ザッパという男が、コンピュータとアコーマンという盤上ゲームの対局を行ったが、ある人物はその焼き直しをしたいらしい。

君の船はナンド―クスに着く。そこの巨大な石を積み上げた要塞のようなところがS&Cの本社である。

ということは、君に話しかけているのは、CEOのペーター・ワイスマンか。
君は、ミイラのようなCEOに会う、会えた。

君って、誰?

蓄積1 P49-62

ここは作られた街。金属シャフトと布の上を歩く。橋の上に作られた街。
コバルトを掘るために移動する採掘船のレール(橋)に住み着いている。

彼はタヤ。タヤには子供がいる。
潜水技師。コバルトを採掘する船の汚れを毎日流し落とす。
タヤの仕事仲間のクースは、タヤが気に入らない。
ところが、そのクースが病気になった。
何人か寝ていた人の中に、ケンジはいた。彼は遠くの島から来た頭のおかしい人。
クースは死んで、ケンジが葬儀を行った。
クースは、カヌーに乗せられて、遠くにある島へ流された。

大きな金属の筒が海に向かって伸びる。タヤはそこに入り、水を肺に取り込んで、海中へ。大きな歯車の刃を磨くのが彼の仕事だ。

私は海に落ちて、歯車の刃で左足を切り取られてしまった。
私はケンジと一緒にいた赤茶色の髪の彼女と親しくなった。
私って誰? 性別は女性だろうか。

コバルトは綺麗なものではなく、人の肺を傷つける毒である。
タヤが赤黒い痰を吐いていたが、私も赤黒い痰を吐き、私が先に死ぬらしい。
死んだ後にどこに行くのだろう。

贈与2 P63-79

私は、イリアス・ノヴァク教授。
目の前の情景が、ライブなのか記憶なのか、綯い交ぜになっている。
タンナ島。ジョン・フラムなるアメリカから来る神を信仰している。

文化人類学の現地調査か。となりにいる女性は、ノヴァク教授の妻となるであろう。
主観時刻は、五月十一日

この島で、死後の世界が否定されたモデカイトが、どのように受容されているのか?
イリアス・ノヴァク教授は、ガイドのヒロヤに呼び出された。お客様がホテルのロビーでお待ちです。
待っていたのは、ロマン・ギラメケティー・ワイスマン、パラオ行政地区大酋長であった。

なんでも、タモル会議とやらに出席してほしいとのこと。文化人類学者としての目線で、この国の在り方を問うてほしいという。

ワイスマンはそれだけ言うと、帰っていった。
彼を待っていた秘書らしき女性は、「真っ白で長い髪をした、若い、少女のようにもみえる女性」 (本の表紙に描かれている女性ではないだろうか!)

(ここから重要な局面となるのか?と思ったのだが。。。)

翌晩、私とガイドのヒロヤは、死後の世界について語り合った。人の死に関する産業についても。(もう墓石とかは無いらしい。今の世界もいずれそうなる。)

転写2 P80-90

ここでの「わたし」は、ヨハンナ・マルムクヴィスト。スウェーデン人模倣子行動学者。
ヨハンナは、このウブサラの街が綺麗すぎて嫌いだ。

シモンとお茶をしているが、ヨハンナは不機嫌だ。
ヨハンナは、人間がどうして社会性を得たのか、どうして争うのか、どうして死後の世界を求めるのかを研究したいのだ。

ヨハンナは、イングマン教授との間に出来た子を中絶した。
シモンは別の彼女と結婚してアメリカへ行った。
イングマン教授は癌で亡くなった。
そして、バチカンは死後の世界は存在しないと明言した。

わたしはどこへ行けばいいの?

蓄積2 P91-101

タヤは橋の上の労働者のリーダーだった。
橋の上には、モデカイト(統集派)という宗教の人たちが増えていった。
いろんな人が来るようになり、やがて採掘船は身動きが取れなくなり島となった。
人々の喧嘩も増えた。
私はタヤに自分のことを話そうしたが、私は私を知らなかったことを知った。
(?)

ワイスマンという人と話をしていたタヤが言う。
この島は、国になる。ワイスマンは中央の政府の人になる。
タヤはこの島の王様になる。私はワイスマンのところに行けという。

(ショックを受けたのか)
私は、シャフトの森から海へ落ちて、左足にシャフトが突き刺さった。
ニイル、私の名前。
私は、私の生まれたニルヤの島へ帰るだけ。。。

弑殺2 P102-111

わたし(ロビン・ザッパ)は、S&C社と契約して、本社のあるナン・マトール遺跡の島で、トゥバンというチェスコンピュータとアコーマンという将棋にもよく似たゲームで対戦している。
8戦目で、7戦負けているらしい。(新入社員だったはずの私はどこへ行ったのか?)

アコーマンは、一度に四手まで進めて、自分が取った駒も使えるのだ。

あらゆる行為と行動は個人の特性と外的要因の組み合わせに過ぎない。
模倣子(ミーム)は、行動予測値を変化させうる、文化の因子。ミームを操作することで、人間の行動は変化させられる。わたしの研究は、ミームの概念を数値として挿入し、演算装置で人間の行動原理を解明することだ。

このチェスコンピュータが進化して、人間の行動すべてが、1台のコンピュータによってシミュレートされる世界が来たら、誰も知らない内に、文化の全てを操られている可能性すら生まれる。

やっと、神の存在や死後の世界を捨てようと言う時に、人間はまたミームによって操られ、再び幻想を手にするかも知れない。これらの考えが、ゲーム大戦中にログとして記録されているのは、この予想が後世に評価されることを期待しているかのようだ。

S&Cは、アクセルロッドの集産経済政策の割を食って、この島へ押しやられた。
私(ロビン・ザッパ)は、そのアクセルロッドのブレーンである。
無神論者であり、ここに隔離されなければ、新有神論者たちに刺殺されるだろう。だから、ここはいい島だ。

転写3 P112-125

私、ヨハンナ・マルムクヴィスト学者(スウェーデン人模倣子行動学者)は名も知らぬ「黒髪の子」の葬儀に付き添う。葬儀はバイ(パラオの高床式の家)で行われた。小さなカナカの女の子が出迎えた。

ヨハンナは、現代に残った古い葬儀の形を見てみたかった。
統集派の信徒は各自で持ち寄った花と食物を惜しみなく提供し、彼の少女が死後の世界に行けるように祈って歌う。

ヨハンナには、外で「ウミガメ」がもてなされるようだ。

この時代の若者たちは、死後の世界を信じていない。悪事を働いても地獄になんざ落ちることもないと考えている。

外での「ウミガメ」のもてなしを終えて、葬儀が行われているバイへ戻ったヨハンナが棺を撫でていると、「アンタ、誰だ」と声を掛けてきたのはケンジ。ケンジは黒髪の子の親の知り合い。

ヨハンナが呟く「私もここで生まれていたら、産まれてこなかった貴女も、海の向こうの島に行けたのかしら。私も行けるかしら。」(またしても理解不能だ)

贈与3 P126-140

主観時刻は、五月十日。(どんどん時間が遡っている?)
私は、ECMに降り立つ。

これからの未来をいくつか認知した。
私は、叙述補記人に脳の中を読み取られて、健康診断された。

未来を認知したと言いながら、「過去を目指した旅に足を向けさせた」という。(?)
高速機は、海上人工島であるニューヤップ島に降下した。
空港で、入国審査と精神平衡検査を受けた、(旅行で精神がおかしくなる前提か?
気圧の変化みたいなものか。。。)

ツアーガイドのヒロヤ・オバックが迎えた。ヒロヤは幼いころから誰も乗ることのない、死出の旅の船を作っているという。

イリアス・ノヴァク教授の意識は日本に飛んだ。
病室で、義父は私をイリ―さんと呼ぶ。義父は、脳だけが生きており、生体受像の技術で脳死するまで意識体が放出する言葉を抽出することができるのであった。(死者がしゃべる?)

自己を保存する膨大なストレージがあるという既成事実を与え、死にゆく者の不安を緩和する、それこそ人類が得た最大の善意のペテン。人は叙述することで、主観時刻を入れ替えることで、新しく自己を保存する方法の代替品を得て、古い善意は捨てられた。

義父の死体は、多くの老人とともに焼却される。もはや遺族は肉体の消失に興味は無いようだ。
イリアス・ノヴァク教授は、妻を亡くし、子もいない。このミクロネシアに来て思うことがあるのだろう。ミクロネシアの島々の多くには母系社会の影響が残り、多くの子供が一人の母親の元にいる。養子、実子を問わず、曖昧な繋がりの中で、しかし確かに家族となっているのをみて、自分は義父の遺伝子を止めてしまったと考えるのだった。

弑殺3 P141-153

ロビン・ザッパとトゥバンというチェスコンピュータの戦いは、1680戦全敗である。
もはや、人間に勝ち目はない。

ただし、これは新しい神の誕生ではなく、人類の新たな選択、そして進歩である。
今までの人類が、果たして自由意思で生きてきた時代があっただろうか。

遺伝子が自身を自己複製しようとする為の乗り物として人間と言う存在を使っているとすれば、今更人間が機会の命令を受け付けないというのは、それこそおかしい。

そして、ロビン・ザッパが盤上ゲームの対戦を続けている一方で、島の外で革新派がポンペイ島の大環橋を破壊した。トゥバンに供給されている電力が低下し、無敵なはずのトゥバンが次の手を指せない!

人間の勝手な争いのせいで、人類の進化と思えたトゥバンが敗北するのか。。。

Congratulation! You have completed regicide!

蓄積3 P154-168

私といとこの彼は、アンガウルで生まれた。
粗暴なので嫌いだった彼は、アンガウルを出ていったので嬉しかった。

私は協会に行くようになり、漁師のアパタンと出会う。彼はパラオ人ではないことに引け目を感じていたが、彼を愛するようになった。

私たちの国はミクロネシア経済連合体(ECM)という一つの国になり、アパタンとの間にマクーフ(花)という子どもが出来たが、すぐに死んでしまった。

島に外国の医療が入ってきて、長生きするようになり、長老らが田畑や森の権利を手放さないため、若者は仕事が無くて困っていたので、長老らが信じる神のことも嫌った。

神を信じるものは、教会の統集派(モデカイト)と呼ばれるようになった。

ECMはミクロネシアのすべての島を繋げようと、大環橋(グレートサーカム)を作るようになった。

一方、モデカイトは、神様や天国を信じない人たちと争うようになってしまった。

私とアパタンの間に、また子どもができたが、名前は付けなかった。

私はメレキオクで、いとこの彼と再開した。刑務所から出てきたばかりの彼の体には、三角形の刺青がいくつもあった。

バチカンの法王が、「私は神を信じているが、死後の世界が存在していることまで言及できないし、強制もできない。」とテレビで言ったために、バベルダオブ島で粛清が起こり、長老や信者たちは殺された。わたしの母や、アパタンや子供も殺されたらしい。

私は、もう死後の世界を説くことはやめて、祈り続ける。

ある日、そのいとこの彼が来て、私は彼に従うしかなかった。
彼の仲間は、パラオ駐留のアメリカ軍と戦い、私といとこは連行された。
一年後、二人は解放されたが、監獄の中で産んだ誰の子か分からない子を、いとこが引き取った。私はひとり島へ帰った。

贈与4 P169-183

次のスケジュールに入り、イリアス・ノヴァク教授とヒロヤは磁気浮動運行車に乗っていた。ニューヤップ島の西方遠方のパラオ行政地区へ。

教授はかつてこの国を訪れ、フィールドワークの経験をもとに、交易に関する本を上梓した。これの影響で、一種の朝貢貿易が促進され、多様だったはずのミクロネシアは、経済発展の過程でひとつになってしまったと、悩んでもいるようだった。

ヒロヤは教授を結節盤の下のマーケットに案内し、政治家以外の必死に生きる人の姿を見せつけた。そこでは現金のやり取りはなく、支払いは体に埋め込まれた生体受像で完了する。

教授は、ヒロヤの祖父に文化人類学者として「これから会った。」という。(不思議な日本語だ。)

船を作り続ける行為は、死後の世界を獲得しようという呪術的思考だ、と教授。

そして、ひとりの老人が、「一杯の水をくれ」と近づいてきた。教授は気前よく持っていたコップの飲物を与えたが、その老人は次の瞬間には死んでいた。老人は死ぬ直前まで、生体受像の全てのリンクを絶っていたんですよ、とヒロヤは言った。
どこからか、モデカイトが現れ死体を処置した。教授はこれを、「善意の監視」と言った。

この老人もニルヤの島へ行って救われるのだろうか。

弑殺4 P184-190

どうやら駒の動かし方に悩んでいたようだね、クルトウル。
(おや、プレイヤーが交代したのか?)

肉体としての不死、つまり細胞の不死と更新は技術として確立されたが、精神の死を超越できずにいる。記憶の断片化(フラグメンテーション)が避けられない。

最近は、この問題を叙述(ナラティブ)による観点から、生体受像の技術が解決しようとしている。生体受像は、単なるウェアラブルコンピュータの類とは一線を画する。

生体受像は、味覚、触覚、感情すらも数値化し、脳に誤解させ、データ化した記憶を刷り込んでいく。脳はデータ化された感覚を記憶として取り入れる。これをパッキングすることで、人間は断片化を恐れず個人は不朽の自己を手に入れ、精神的な死を超越しようとしている。

そして、この二つが揃ったとき、人は死を克服し、死後の世界を捨て去ることができる。

誰かが、クルトウルに話しかける。
君は、積荷信仰(カーゴ・カルト)という、人類の面白い行動様式を知っているか?
今まで自分が得ていた利益が、ある局面になって得られなくなったら、人はそれを再現したくなる。

ミームとは、人間だけが持つ、文化因子だ。
それ自体が遺伝子の派生形、遺伝子がより安全にかつ効率的に進化をするために生み出した複製体、社会に埋め込まれた遺伝子であると言える。

このアコーマンと言うゲームは、64マスですべてが決まる。
生物同士の戦いをシミュレーションしている。王を脳、病を口、都市を目、船を足、木を手、量子を遺伝子と置き換えれば、まるで盤上で奇妙な人造人間が、再生し合いながら、取っ組み合いを演じているようにも見える。(なかなか面白い。このゲーム実際に売れるんじゃないかと思う。)

知っているかな、大環橋がいよいよ全面開通だそうだ。

転写4 P191-200

今日は葬儀の最終日。(長いなあ)
キリスト教由来の聖歌を歌い、もはやキリスト教に存在しない死後の世界へと死者を送る。矛盾しながらも確かに存在している信仰の形をみる。

前世代の人たちが持っていた信仰心とはこういうもので、紐は結びなおせる。
(ヨハンナは、何をしたいのだろう。)

葬列はゲデレオの浜へ到着すると、宗派を超えて島中の人が集まっていた。

信者の男たちは、棺の中の少女をカヌーに乗せた。少女の左足は欠けていた。
そのカヌーにケンジが駆け寄り、抱えていた「赤茶色の髪の少女」を投げ込んだ!
「お前の娘!」(え、でも生きているのに?)
「アパタン!俺はお前の娘を送るぞ」

ヨハンナは必死にカヌーに追い付き、転覆させて少女を救った。
少女の母が駆け寄り、ヨハンナはサンタマリアとして崇め奉られた。

蓄積4 P201-207

名前をつけなかったアパタンの子(蓄積3)
(この章の「私」は、その子だろうか。)

私は、父と共にケンジの船で島から逃げた。
採掘船の病室で、黒い髪をした彼女と出会う。
(誰なのか、ストーリーの展開が難解で分からなくなってきた。)
その黒髪の彼女は、いずれ棺に入る。彼女の父親は三角形の刺青を持つ男。
彼女は私にその男のことを話すのだったが、死んだ。

死んだ彼女の父は、彼女の棺を、わたしとケンジに託した。

私の母になってくれる青色の瞳に金色の髪をした彼女。(誰のことだろう)

ケンジは、黒髪の彼女はニルヤの島へ行くという。私の父もそこに居るという。

マクーフ。私をマクーフと呼んだのは黒髪の彼女。
もう少しで弟が生まれる。
黒い髪の母親は死ぬけれど。金色の髪の彼女は私の最後の母親。
(もう、人間関係がわからない。蓄積と転写で誰が誰やら分からない。。。)

弑殺5 P208-216

私にチェスを教えたのは、母だった。
彼女は典型的なアメリカ人で、敬虔な福音主義者だった。祈り続ければ、自身が神の御国へ行けると信じていた。

母は神の御国に近づく一方で、この世界からは逃れたがっているようだった。
だが、私の考えはこうだった。宗教なんて、ただ人間の(他者への共感を示す)模倣と恐怖に起因する、無意味な行為の連続だ。行くべき神の御国は無いし、救いも償うべき罪もない。

ミームとは即ち、人間の持つコーデックなんだ。人はあらゆる文化事象をコード化し、自身の脳内にあるミラーニューロンにおいて接続する。接続された文化事象は、個人の行為となってデコードされる。(そう、人間はいろいろなことを聞かされ、脳内でコード化され、自身が扱うことで、文化を継承するのだ。)

文化事象の発生をコントロールできるなら、人々の間に生存に有利な状態のミームを伝播させられる。高度にミームを操れる人間、機械があれば、社会を安定した方向に導き、戦争を回避し、経済も立て直すことができる。

アンタの名前は?
ワイスマンだ、新しい思考マシンを用意しよう!

贈与5 P217-229

日本国籍のイリアス教授は、自分の結婚式を俯瞰して見ているようだ。
少し、微睡んだようだ。
今日は、五月十二日の夕方、場所はバベルダオブ島の首都メレキオクである。

教授とヒロヤは教会で、関係ない外国人の結婚式を見ているらしい。
その途中で、教授は夢をみたようだ。

教授の妻は事故で亡くなったそうだが、そのあと日本の新興玩具メーカーからあるメッセージが届いた。死んだ妻のログデータを元に、精巧な人形に人格をAI化してコピーすれば、生前と同じように話しかけてくれるという案内だった。
(これは、すごいことではあるが、今日のロボット文化のレベルは高く、そのうち実現されるのではないかと思う。)

教授は、すこし調子が悪いようで、ヒロヤに聞くと、今日は五月十三日だという。一日ずれている。
(この時代の人間は、脳はもはやコンピュータのメモリに置き換わっているようだ。)

翌日は、タモル会議。

教授は、ヒロヤに死後の世界について教えてほしいのだが、ヒロヤは答えない。教授はいら立ち、嫉妬した。「君は死後の世界を、初めから知っているはず。その人類が失いかけている概念を叙述してくれないか!」

ヒロヤは教授に言った。「僕の祖父に会いに行きましょう。」

蓄積5 P230-235

私はニイル。タヤには黒い三角形の刺青がある。

私は正しいことを知っている。
私は、私より先に生まれた私の為に、そして後から生まれてくる私の為に、伝えて運ばなくてはいけない。(何を? あなたはクローン人間?)

ワイスマンと言う人は、きっと私のお父さん。

もうすぐで今の私は終わる。(死ぬのではなくて、終わる。データのように?)

私はニイル。タヤはわたしのお父さん。(あたまがおかしくなってくる)

転写5 P236-251

ヨハンナは、いつのまにかマクーフと過ごすようになっていた。

もともとヨハンナは、脳科学と模倣子工学の講師で、その肩書きを確かめ続けるような生活に飽きてしまい、アンガウル島のサルの伝播の研究という目的でバカンス気分でやってきただけだったが、すっかり馴染んでしまった。

案内の契約を結んだはずのトリ―は、ヨハンナがケンジを許したことが許せなくて離れていった。

トリ―は教会で、破壊行為を行っていた。
「どうしてそんなことをするの?」
「死後の世界なんてものはない。天国も地獄もこの世にあるんですよ。」

右手にはライター、左手にはナイフ
放火を止めようとしたヨハンナのお腹に、ナイフがささる。倒れる二人。ライターの火が教会に広がった。

なんとか、教父と信者らに助け出された二人の後ろで、協会が崩れ落ちた。
トニーは地獄のこの世で罰を求めていた。行く場所を求めていた。(それがニルヤの島なのか。)

弑殺6 P252-260

主語が誰だかわからない。ワイスマンなのか。

仮にワイスマンとして、彼はクルトウルに話す。
面白い話を聞いた。どうやら主観時刻(タイムスケープ)という手法が確立したようだ。
今を延長することで不老不死を手に入れるという。
しくみはこうだ。生体受像でデータ化された感覚と記憶を、順序を入れ替えて人間の脳内で再生するのだ。個人の体内にあるDNA自体をコンピュータに使う。

たった数秒あれば、人は脳の中で一生分の経験を処理できる可能性がある。
実時間上で経験した事実を、わずかな時間で並べ替えて、再び脳に夢のように見せることができる。

人は断片化を恐れるものだ。この恐怖が死後の世界と言う思想を生み出した。
両親、あるいは先祖という無数の断片化された自己のルーツがあれば、個人は安心する。

断片化を恐れる個人は、死後に祖先という概念に統合されることで、自己の空白を埋められると考えたが、いまや生体受像のログと模倣子行動学で自己の空白は担保されたため、人は死後の世界を捨てた。

人間を安定的に進化させるため、ミモタイプドグマによって形作られ、ミームそのものを演算素子に使うミームコンピュータの進化は目覚ましい。
無数の国民は並列化された演算装置、群体でのコンピュータである。その力を引き出すのが、ミームコンピュータの端末である。

S&C社は、国民の中に安定進化をもたらすミームを植え付ける方法を探ったのである。まるで、宗教におけるイエスのようなものか。

彼らが死後の世界を否定し始めてから、科学は進歩し、ミームコンピュータが誕生したが、皮肉なことに、自らの演算の中で、ミームのクローンによるモデカイトのような例をつくりだし、再び人類に死後の世界の実存というミームを植え付けたのである。

(やはり、死後の世界というのは、人類が安定的に進化するために必要だったということではないだろうか。)

このミームコンピュータを、こう呼ぼう! ニイル。

蓄積6 P261-267

私は、今度は誰だ!髪が赤茶色なら、ケンジに付き従う娘だ。
私とお母さんが登場した。

お母さんは金髪と眼鏡
お父さんは白髪と眼鏡

私の記憶が、いろいろと混乱している
わたしはニイル
わたしは、お父さんもお母さんも私も知らない。
私はどこへ行けばいい。

転写6 P268-273

ヨハンナは、炎の中から生還したため、統集派に祭り上げられ、洗礼を受けて、シスターと呼ばれるようになった。

ヨハンナは、シスターになって、浜辺で出会った黒い髪の女性の出産と葬儀に立ち会った。彼女は男の子を生んだ。父親はパラオの日本人だという。(ヒロヤ?)

ヨハンナは、あの赤茶色の髪の少女と、この日本人の男の子を自分の子供にすることにした。

ヨハンナは、彼女(赤茶色の髪の少女)が自分の転写であることに気づいた。(もう、誰が誰やら着いて行けなくなっているが読了を目指す。アルピニストのように。)

贈与6 P274-284

イリアス教授は、「文化人類学者としての目線で、この国の在り方を問う」ためにタモル会議の演台に上るところだ。

つぎの瞬間、視界が変わる。(この人達には、実は肉体が無いのではないか。)
海の中に浸かって、教授はヒロヤから祖父の話を聞いた。
(祖父に会いに行くんじゃなかったのか?)

祖父は昔、航海士だった。
アンガウルでは内戦があり、祖父はアパタンという男性とその娘を船に乗せて島を脱出したが、事故に会い、アパタンの娘とそれを抱えていた少女だけが生き残った。
祖父は、その事故の過去を、その直前までを再現し、過去を自分の中で書き換えようとしているのだ。祖父は、アバタンの娘を彼女の父のもとへ届けることができたのだろうか?

教授の頭には、他人の人格のスケジュールが挿入され、また断片化され、基調講演での後半は他人の意志を語っていた。

イリアス・ノヴァク教授は、次に講演する教主ヨハンナ・マルムクヴィストとすれ違った。彼女は白い髪の皺の深い老人だった。

会場の照明が消えて、全ての情報から切り離された感覚があった。

転写7 P285-291

赤茶色の髪の少女は成長した。ヨハンナは代わりに老いていった。
去年、代教父はニルヤの島へと旅たち、代わりにヨハンナが統集派の教主となった。

そのヨハンナのところに、S&C社のCEOであるペーター・ワイスマンが訪れ、モデカイトで、ミモタイプドグマ(ミモタイプの教義)を取り入れてほしいという。

ワイズマンは、生体受像を使って、ミモタイプドグマによるミームの転写を行う腹積もり。
ヨハンナの模倣子行動学者としての経歴を知るワイスマンは、言葉巧みに彼女を説得した。

そして、最初は自我を身につけたかのように思えたマクーフは、彼女の一部が他人の中に転写され、やがてもともとあった自我までも薄れて消えてしまった。

ヨハンナは、この選択は間違いだったと気付いた。
彼女は、私の娘だけれど、娘ではなくなった。

蓄積7 P292-299

俺は、タヤ。
俺が島を出たあと、家族は皆殺しにされ、復讐した私は刑務所に入った。

俺は刑務所の奴らと出所したあと、いろんな島を渡り、故郷の島へ帰った。
そこで、傲慢な女と再開し、女を連れて別の島へ渡ることにした。

俺たちは石の島の刑務所で、英雄とワイスマンに会う。

刑務所を出ると、傲慢な女は、黒い髪の子を産んでおり、俺はその子を自分の子として、一緒に暮らした。
娘は、ある日尖ったシャフトに落ちて、左足を失って死んだ。

俺は橋の上で暮らしている。
白い髪の娘が現れた。
彼女の言うとおりにすると、人が集まり氏族ができた。

俺は氏族の前に立つことにすると、故郷の島から、モデカイト教の者たちが現れ、
女の教主が現れ、死んだ我が子を浄化してくれたので、死後の世界を説く彼らを嫌っていたが、今は一緒に葬儀を行って、仲間たちの死体をカヌーに乗せて海の向こうへ流していた。

そして、モデカイトたちとその教えを広めるようになり、その中で再びワイスマンに会う。
俺はワイスマンとともに、橋上の島を、ひとつの国にすることに決めた。

そして、娘は、ある日尖ったシャフトに落ちて、左足を失って死んだ。
(繰り返してるなあ。さっぱり分からない。)

ワイスマンは死んで、俺はワイスマンを引き継いで、この国を導く。
(と、言っておきながら、次の行では、)

俺はあの島へ帰る。(という)
あの傲慢な女の人生を背負おう。

俺はニイルになる。(?ニイルは、あんたの娘ではなかったか?もう、わからない!)

弑殺7 P300-306

ミームコンピュータによって、ECMは管理される。ミームコンピュータの出力端末である個体をニイルと称している。技術は進歩し、外見で分からないだけでなく、自分がニイルであることを自覚しない個体もいる。

これこそがECMが取った最大の戦略。安定したミームの伝播と国民の意思統一。洗脳とは違うという (が、わたしには広大な洗脳に思える。)

盤上の遊戯は、もう終わろうとしているのか。クルトウルの前にいるミイラのような老人、ベータ・ハイドリはまもなく死ぬという。彼が死ぬことで、全てのミームコンピュータに対するホストの役割が途絶える。一時、全ての接続が切れる。

王であるベータ・ハイドリは、負ける?ことで、クルトウルに王座を任せるようだ。
ベータ・ハイドリの中にあるミーム(模倣子)というカーゴ(積荷)は、クルトウルに受け継がれたようだ。

このゲームの敗北条件は、自分の王座に駒が一つもなくなったときだ。今、私の王座には、君の移動した駒が存在している。

これは敗北ではなく、継承だよ。

贈与7 P307-319

タモル会議は中断され、暗闇の会場から多くの島人達は外へ出たが、依然として暗闇であった。

教主ヨハンナ・マルムクヴィストは、信者の神輿に乗り、「今、王権は倒れました。我々は今こそ、人々が抱えた自らの罪を清浄なものへと変える為に、ニルヤの島へと行かねばなりません。」と言う。

小さな島全体を巻き込むようにして、鮮やかな巡礼は進んで行く。(私は、その島はただの概念であると思っている。彼らは何を見ているのか!)

列が、ヒロヤの祖父がカヌーを漕ぎ出だそうとしている浜に到達する。
イリアス・ノヴァク教授も興奮して叫ぶ「ニルヤの島へ!」
教主ヨハンナ・マルムクヴィストは祖父ケンジのカヌーに乗った。
そして、黒い三角形の刺青のワイスマンが手を貸して、ヒロヤの祖父をカヌーに乗せた。カヌーは前へ進んで行った。そして、ワイスマンもカヌーへ乗り込み、ニルヤの島へと向かう。イリアス・ノヴァク教授もカヌーについている。

ほんとうにそこに辿り着けるのか?
イリアス・ノヴァク教授は、自分はすでに死んでいるのだと気付き、カヌーから差し伸べられた手を取った。

結合 P320-325

朝が来て、砂浜にはもう誰もいない。波の向こうに彼らの姿もない。
彼らが望んだのは、死者の王国と言う、それ自体が死を迎えた概念だった。
人間たちに取り残され、それが為に増殖し、この国を覆って行った裏返しの国民。

ニルヤの島は、人間の遺伝子が、自己を効率的に増殖させるために生み出した、遺伝子の複合体であるミームが、さらに人の死と生を管理するために生み出した概念に過ぎない。

僕(誰のことだ!?)の生体受像が回復した。(普通の人間ではないのか。)
他のニイル達との同期も順調に回復した。

『彼らは死んで、細胞となり、そのDNA塩基の配列を残し、僕はそれを拾い上げたに過ぎない。死後の世界を求めるミームは全ての人々に継承された。
そこで彼らは他者と同一存在となり、自らの自我を一瞬の中に永遠として閉じ込める。それがニルヤの島。』

『死後の世界を取り戻した代わりに、生者の世界を置き去りにすることはないだろうか。』

『ミームは遺伝子が生んだ複製体だ。両者は互いに親であり子である。』

浜辺にいる猿達の目に知性は無い。だが、いつか。。。

貴方達は辿りついてしまったのですか。ニルヤの島へ。

銘句 P326

『王は死んだ、新しき王万歳!』


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